2024シーズンのNFL新キックオフルールと効果予測
カエルはドライマンハッタンのお代わりをオーダーすると、バーテンダーの背後の棚のウィスキーを眺めながら言った。
「僕らはキックオフをリターンしなければならなくなったんだ。」
「キックオフ・リターン?」
「今までは面倒だったらボールを捕らなければ良かった。アンティパストのようにね。」
「けれど、もうリターンしなければならない。」
「リターン。」
「好むと好まざるとに関わらず、僕らはボールを持って走るんだよ。やれやれ。」
新しいキックオフのルール
2024シーズンから、キックオフのルールが変わります。
キックオフのルールは最近頻繁に変えられています。元々のルールは、怪我が多いからという理由で、全速力で走って強くぶつかる場面が減るように変えられました。その際、リターンするよりもタッチバックにした方が得だと思えるようなルールになりました。
その結果、リターンされることが極端に減ったのです。するとキックオフがつまらない、いらないプレーだとまで思われるようになりました。
そこで今度は、リターンを促すようなルールが採用されました。
このような形になります。
ルールの要点は以下の通りです。
・キッカーは自陣35ydsからボールを蹴る
・ラッシュチームはキッカー以外の10人が敵陣40ydsライン上に片足を置く形でセットする
・リターンチームは9人以上が自陣30ydsから35ydsの間にセットする
・リターンチームの残りの2人はリターナーとして30ydsとエンドラインの間にいて良い
・キックされたボールをリターンチームの選手が触るか、ボールが地面についたら、向かい合った選手たちは動いて良い
・キックされたボールは20ydsからゴールラインの間に落ちないといけない
・キックされたボールが20ydsより手前に落ちたら、オフェンスは40ydsから開始
・キックされたボールが20ydsからゴールラインの間に落ちたけどタッチバックになったら、オフェンスは20ydsから開始
・キックされたボールが直接エンドゾーンに入ってタッチバックになったら、オフェンスは30ydsから開始(ただしエンドゾーンからリターンしても良い)
・キックされたボールが直接サイドラインを出たらオフェンスは40ydsから開始
箇条書きではわかりにくいので、説明動画をどうぞ。
The NFL’s new dynamic kickoff rules 👀 pic.twitter.com/1N02SW7e4k
— ESPN (@espn) August 2, 2024
The new Dynamic Kickoff rule is going into action tonight at the @ProFootballHOF Game.
— NFL (@NFL) August 1, 2024
Before you see it, get a full breakdown of the new play, the coaches who helped shape the rules and how it was integrated into #Madden25. @EAMaddenNFL pic.twitter.com/gkRXePPpN4
去年までのキックオフのルールも、土台として参考になります。気になったらこちらをどうぞ。
新しいキックオフルールの効果予想
では、キックオフのルールが変わることで、どのような効果が生まれるのでしょう。
2023シーズンのNFLの場合
リターン率
2023シーズンのNFLでリターンされたのは22%だけだったとのこと。
平均リターンヤード
チームごとのリターンヤードの平均は16ヤードから28ヤードくらいでした。
リターンしたヤードに加えて、ボールをキャッチした位置によっても、どこまでリターンできたかは変わります。ただし、平均で25ydsまでリターンできたチームは多くなかったようです。SFが優秀で平均で28ydsまでリターンできたという表記がどこかにあったが気がしますが、それでも3ヤードしか変わりません。
それならば、タッチバックにして25ydsからオフェンスを始める方が良い。ファンブルのリスクも怪我のリスクもないから、と考えるのは当然でしょう。従ってタッチバックが多かったのです。
オフェンス開始地点
オフェンス開始位置は25ydsくらいが平均で、自陣21ydsから30ydsの間から開始されたのが88%だったそうです。
2023シーズンのXFLの場合
NFLの新しいキックオフルールの元になったのが、XFLのキックオフルールです。そのため、XFLの結果に近いことがNFLでも起こることが予想されます。
リターン率
平均リターンヤード
チームごとのリターン平均は19ヤードから25ヤードくらい。意外とリターンできているような気がします。
オフェンス開始地点
キックオフの結果としては、自陣20yds以内からの開始が17%、31ydsよりも進んだところからの開始が30%とのこと。残りの53%は20ydsから31ydsの間なのかな。去年のNFLの、自陣21ydsから30ydsの間から開始されたのが88%という結果よりはバラツキが出そうです。
リターンした場合の開始位置平均は自陣31ydsらしい。キック側がミスをした場合のタッチバックでは30ydsからの開始、リターン側がわざとタッチバックにした場合は20ydsからの開始なので、リターンすべきだということになります。その結果として、90%以上がリターンされたのでしょう。
プレーの傾向
ただし、タッチダウンやファンブルは意外と少ないのも印象的です。
タッチダウンは1つだけ、ファンブルはなんとゼロらしい。
20回以上リターンした選手の中で50yds以上のリターンをしたのは2人だけ。リターナーが独走になるプレーは難しいようです。
助走もないので派手なキックオフリターンとラッシュの勝負ではなく、ゴリゴリとブロックして押すようなリターンが多くなるのかもしれません。
こちらの解説動画の雰囲気としては、
・リターン側は受け身になるのでブロックしにくい
・ラッシュ側はパシュートもしやすいのでロングゲインを防ぎやすい
・リターン側がブロックする対象をずらして、ブロッカーを集中させる箇所を作るべき(2:08くらいから)
という感じでしょうか。
シーズンが進めば、リバースプレーなんかも見られるようになるかもしれませんね。
新しいキックオフルールの効果予測
・否応なくリターンが発生する(オフェンスの開始地点の幅は広がる)
・意外と派手ではない(TDやファンブルは少ない)
・去年に比べて怪我が増えるのかは不明(データが見つからなかったけど、大きくは増えなそう)
「知らんけど」
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