それぞれの2022シーズン。コーチ編

それぞれの2022シーズン。コーチ編

(HC)Mike Mcdaniel

就任初年度からプレーオフに進出しました。十分な成果です。前任者フローレスの電撃解任もあり、ディフェンスはそこそこ整っていたのも運が良かったかもしれません。とはいえ、去年最低レベルだったオフェンスの雰囲気も成績もがらりと変えて見せたのはインパクトが大きかった。

キャラも独特でヨシ。NFLではなかなか見ない陰キャな風貌、選手にいじられる親しみやすさ、ロジャ男の反則誘いプレーを邪魔したときの笑顔、とっつきにくいけど愛されキャラって感じです。前任のフローレスが規律を重んじたのとは異なり、わきあいあいとチームを盛り上げていました。

しかし、シーズン序盤の勢いは良かったのですが、後半には課題がいくつも出てきてしまいました。

まず、ツアがいない試合で全敗だったこと。控えのQB5ブリッジウォーターとQB19スカイラーが期待通りに働けなかったこともありますが、選手に合わせたプレーの準備や選手への落とし込みにも問題はあったかもしれません。師匠であるシャナハンがQBが変わってもそこそこ安定したチームを作り上げているのに比べると、やはりまだまだなのかなというところ。

そして、シーズン終盤はツアにも課題が生まれました。脳震盪ではなく、プレー面で。速いパスラッシュとプレスカバーを組み合わせられると極端に弱いのがバレてしまったのです。ツアの問題でもありますが、プレーの仕込みやコールでカバーできる部分もあるはずで、そちらはコーチの課題に見えました。

過去、若くしてHCに抜擢された人は多くいます。しかしその中で、実はその人本人じゃなくて一緒にやっていた人が有能だったために誤解されて評価が高まっていた人も少なくありませんでした。ゲイスがすごいらしいと雇ってみたら実は兄者がすごかっただけで、HCをしていた6年間ほとんど新しいプレーが追加されなかったような気がするとか。ナギーがすごいらしいと雇ってみたら、実はリード先生がすごかっただけで自分の美学をつらぬいて散っていったとか。

マクダニエルも最初に持ち込んだプレーは通用しましたが、相手ディフェンスに対応され弱点をつかれると脆く負けてしまいました。ここからさらに対応できるのか、自分やこのチームにあったプレーを新しく作れるのか。その辺りが来年の見所になりそうです。

(OC)Frank Smith

目立たなかった。オフェンス全体の指揮もプレーコールもHCマクダニエルがしているので、OCスミスは実質的にはアシスタント的な役割なのかもしれません。

しかし、もともとOLコーチだったので、OLの強化は期待していました。特にパスプロ。しかし。あまり去年と変わりませんでした。もちろん、怪我人が多すぎてその場その場の対処しかできなかったという事情はあったでしょうけれど、それにしても存在感なかったなあ。

そしてOLコーチがクビになりました。次のOLコーチはベテランで統率とフィジカルやファンダメンタル中心がいいな、そしてスミスにプレーに合わせた動きをしっかり教え込む役割になってほしいな。

(DC) Josh Boyer

結果的には今年でサヨウナラとなりました。ディフェンス全体としては決して良いとは言えませんでしたが、そこまでひどい成績という印象でもなかったので、前政権の後始末というかマクダニエルHCの趣味にあったディフェンスを構築しなおすためのDC交代でしょう。

とはいえ若干、指導力と対応力への疑問は持たれていたようです。去年まではHCフローレスと一緒にディフェンスを作ってきたという雰囲気だったので、1人ではまだ少し力不足だったのかもしれません。

選手の間でボイヤーよりもLBコーチの方が慕われているという噂があったり、サイドラインでジタバタしている様子も映されてしまったり。

また、ディフェンスのシステムやプレーコールに関して引き出しが少なく、相手オフェンスの変化や特徴に対応できていないという印象もありました。基本的に、DLにLBとSも加えたディスガイズで相手パスプロを混乱させてQBにプレッシャーをかけるディフェンスです。そのため、パスカバーはマンツーマンが主体となり、個人の能力が重視されます。それゆえの高給取りCB2枚使いだったわけです。しかし、その2人が、さらに3人目も4人目も怪我して、パースカバーの根幹が崩れたのにPSレベルの選手で同じことをやり続けてしまった。そりゃ無理だろうなあ。

さらにSSも離脱した後は、ブリッツのパターンも減った気がします。実力派EDGE2チャブが加入したことも理由だとは思いますが、シーズン後半はシンプルなラッシュが多かった。パスラッシュの方はあまり個人技に頼るものではなかったはずなのに、新しい選手にプレーを覚えさせられなかったのかもしれません。

そんなこんなで、ボイヤー自身にはまだ伸び代があるとは思うのですが、ドルフィンズからは離脱です。フローレスがどこかでHCかDCになったら、またスタッフとして加わったらいいんじゃないかな。

(DC)Vic Fangio

新しいDCにファンジオさんが決まりました。めでたい。

コーチ歴41年、NFLコーチ歴33年という大ベテランです。

もともとHC歴のないマクダニエルがHCになり、プレーコールも自分で出すとなったところで、DCはディフェンスを任せ切れるHC経験者に就いてほしいところでした。しかし、わりと唐突なHC交代だったからか、継続性を重視したのか、DCは残留のまま今シーズンを過ごしました。で、やっぱり頼りない半分、前政権の残りだし替えようよ半分くらいの理由でしょうか、今回のDC交代は。

ファンジオさん、直近は、

2011-2014シーズン、SFのDC、

2015-2018シーズン、CHIのDC、

2019-2021シーズン、DENのHCを務めています。

2011-2014シーズンのSFは、あのウィリス&ボウマン時代です。チームのディフェンス成績は、

2011:失点2位

2012:失点2位

2013:失点3位

2014:失点10位

14年はウィリスとボウマンが両方いなくなって、オフェンスもグダグダでしたが、それでも10位という立派な成績。

2015-2018シーズンのCHIでは、

2015:失点20位

2016:失点26位

2017:失点9位

2018:失点1位

就任当初は立て直しが必要でもあり、チーム全体ぐずぐずっとしていたのか、ディフェンスの成績も良くありませんでした。しかし、2017シーズンに向上し、さらに2018年はEDGEマックを獲得、DTヒックスと一緒に強いフロントができて、LBロンクアンをドラフトで指名、No.1ディフェンスを作り上げました。

そして、ついに2019-2021シーズン、DENでHCになります。

2019:失点10位

2020:失点25位

2021:失点3位

オフェンスがね、ロック時代でね、勝てなかった。けれど強いディフェンスを構築して、その後のQBガチャさえ当てれば勝てる時代につなげた感じかな。

キャリアも結果も申し分ない。直近3チームとも、オフェンスさえ良ければスーパーボウルも狙えるという状態にしていたわけで。今年は1年間お休みしていたようなものですが、PHIのコンサルタントという肩書きになっているので、もしかしたらリングがもらえるかもしれません。

イメージとしては、MIAのここ4年のディスガイズ大好きカバー0大好きスタイルとは異なり、LBやエッジに軸になる選手を置いてわりとどっしりオーソドックスに守るチームがします。が、実際のところどうなんだろ。

現在のMIAのロスターからすると、エッジは、ボンちゃんやマックに比べるとさすがに少し物足りないかもしれませんが、とりあえずチャブとフィリップスで良いでしょう。

LBは、エースのベイカーでも、ウィリスに比べるとスケールが違うし、ロンクワンに比べても力不足です。ロバーツはさらにつらい。やはり補強が必要かな。

パスカバーはどれくらいゾーンを使うのかわかりませんが、それによってはCBの入れ替えもあるかもしれません。セーフティーについては、DENのシモンズのイメージで考えると、わりと上がってタックルするタイプ、広くパスカバーもできる、そしてボールホークということで、現有戦力のホランドにボールホーク要素が加われば良いのかも。できるのか? あと重たいDT欲しいなあ。

というわけで、ファンジオがこれまで率いてきたディフェンスの中心選手たちに比べると、現在のMIAのDは全体的に小粒な感はあります。でも総入れ替えが必要なほどでもない。2年くらいでトップ10くらいまで押し上げてくれないかな。ちなみに今年は失点24位でした。





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