松澤寛政さんのNFL入り期待が高まっているのでキッカーがデビューするまでを調べたら思いのほか厳しかったけどThe Tokyo Toeならなんとかなりそうな件

松澤寛政さんのNFL入り期待が高まっているのでキッカーがデビューするまでを調べたら思いのほか厳しかったけどThe Tokyo Toeならなんとかなりそうな件

The Tokyo Toeという選手

ハワイ大学の松澤寛政さん、A.K.A. The Tokyo Toeが話題です。FGを25回連続で成功させて、ハワイ大学の記録を塗り替え、FBS(カレッジ最高水準の大学が所属する区分)のタイ記録にも並びました。
そして、カレッジ最優秀キッカー賞とも言えるLou Groza Awardにもノミネートされています。
さらに、CBSスポーツのオール・アメリカに選出されました。

つまり、来年カレッジからNFL入りを目指すキッカーの中ではトップレベルにいるということです。
とにかく、これまでの日本人フットボール選手の中で見ると、まあ、えらいこっちゃです(語彙力)。
(ここまで合ってるかな?知識があやふやですいません)

キッカーというポジションの厳しさ

とはいえ、キッカーはNFLの中では特殊なポジションです。
NFLには32チームありますが、ロスターに残るキッカーはぜんぶで32人しかいません。いや、ロスターにキッカーがおらずPSでしのぐこともできるから、最大で32人しかいない。QBでさえ控えがいるのに、キッカーはスターターからこぼれたら即カット。
しかも、選手は毎年毎年カレッジからたくさん供給されます。その中で競争して32人に残らなければならない。つらいポジションなのです。

ちなみに2025シーズンにNFLデビューしたキッカーは5人だけでした。
2025シーズンのドラフトで指名された選手が2人。そして、今年のドラフトでは指名されなかったものの、UDFAで拾われてロスターに残った選手が1人。この3人はいわゆる新卒採用です。
つまり、全米でカレッジを2025年に卒業したキッカーで、その年にストレートでNFLデビューしたのは3人だけ。

あとの2人のうちの1人は、2年目にして4チームを渡り歩いてNFLデビューをした選手。そしてもう1人は、International Player Pathwayという、アメリカとカナダ以外で選手を探そうという試みを通してNFLにたどりついたアイルランド人の選手。

これほど、NFLのキッカーというのは狭き門を通り抜けなくてはならないのです。

キッカーというポジションの希望

カレッジで成績を残したキッカーであっても、NFLでデビューするのは簡単ではないことがわかってしまいました。
しかし、簡単にあきらめなくていい、むしろ下積み期間を経た選手が多いのがキッカーというポジションでもあります。

2025シーズン13週終了時点で、スタッツが残っているキッカーは41人でした。
41人中、ドラフトで指名された選手は13人しかいません(3巡1人、5巡4人、6巡6人、7巡2人)。
キッカーはドラフトで指名されなくても大丈夫なのです。27人がいわゆるドラフト外のUDFA。そしてもう1人がちょっと特殊なInternational Player Pathway経由。

それぞれさまざまなデビューまでの経路がありました。
大学を出て最初に入ったNFLのチームで、卒業した年のシーズンにNFLデビューしたのは、41人中21人だけでした。半分近くが回り道をしています。

デビューまでに要したチーム数は、
1チーム:22人
2チーム:6人
3チーム:11人
4チーム:1人
5チーム:1人
PSとしてだけ所属して移籍することもあるので、複数のチームに所属してからようやくNFLのロスターに入る選手も多いのです。

デビューまでに要した年数は、
1年:30人
2年:9人
3年:2人
修行期間も当たり前です。

PSやNFL以外のチームを経験せず、デビューから常にNFLに居続けているのは15人だけです。圧倒的にジャーニーマンが多いのがキッカー。そこに希望がある。

10年以上NFLにいる選手は、今年は5人います。しかし、みんなストレートでデビューはしていません。
Jason Myersは2年の無所属の後に、
2年目に3チーム目でデビューしたのが、Chris BoswellとBrandon McManus、
1年目にデビューしたけど3チーム目だったのが、Matt PraterとGraham Gano。

即戦力でなければならないけれど息は長い。そのため、すでに26歳という松澤さんの年齢もそれほど不利な条件にはならないとも思われます。

がんばれ松澤さん

僕らは日本人NFL選手が見たいんだ。勝手な押し付けをしていることはわかっています。でも見たいんだ。

NFLのドラフトで指名されるキッカーは2-3人のことが多そうです。少し前に、ある大学スカウトによるドラフト指名ランキングで松澤さんは7番目という現地記事を見た気がします。この序列ではドラフトで指名されない確率が高い。
まあ、どこの記事かもわからなくなってしまいましたし、どこのスカウトが言っているのかも伏せられているわけで、当てにはなりません。
とはいえ、本当にトップ校といわれる大学所属ではなく、50ヤード以上のFGを蹴っていない松澤さんは、実力通りの高さの評価を得られない可能性もあると思われます。

もちろんドラフトで指名されるのが望ましい。今年NFLに出場したキッカーで、ドラフトで指名された13人の選手は、11人がそのままストレートでNFLデビューしています。
例外は2人ですが、どちらも1年目にデビューはしています。
ちなみにこの2人。
Harrison Butker(CARが指名→ KC)
Jake Elliott(CINが指名→PHI)
2人とも安定したベテランのイメージがあるので、ドラフトで指名したけどカットしちゃったチームは悔しいだろうねえ。

ただし、見てきたように、今年NFLでプレーしたキッカーはドラフト指名されなかった選手の方が多い。
松澤さんも、もし指名されなかったとしても、どこかのチームのキャンプには招待されるでしょう。大体どこのチームもキャンプではキッカーを2〜3人は呼んで競争させるから。その時点では、キッカーの枠は64人以上に広がります。そこには当然のように入ると思われます。

そこでいきなりロスターに抜擢されなくても、なんとかPSに残れれば、シーズン中や翌年以降にチャンスが回ってくる可能性がある。
今年のNFLで複数のキッカーを使ったチームが11ありました。意外と多い。
キッカーは調子が悪いとすぐカットされるつらい仕事です。逆に考えると、調子が良ければ長い距離をばんばん成功させるキッカーを雇ったものの調子を崩した場合、勝負所で競り負けたチームが、あーもう距離より正確性が高いキッカーの方がいいよーという気分になることも多いだろうということです。
そこで白羽の矢が立つのが、FBSでFGを25回連続で成功させ、PATをパーフェクトに決めた松澤さん。というルートを期待しています。

いやもちろんドラフトで指名されれば最高なのですが。来年のドラフトは3日目もぜんぶ見なきゃと思っていますが。それでも、ドラフトだけで終わりじゃないぞと。そのあとも狭き門へのチャレンジは続けられるぞと。
今年の例でいうと、キッカーがNFLデビューまでに要した期間の最長は3年でした。変な大人たちに惑わされず、3年は続けてください。

がんばって The Tokyo Toe

おまけ





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