マホがブレーデー様並みになったとか10年早いぞコラ!(完成形に近づきすぎなんだよ10年くらい迷走してこい)という話
タイトルは釣りです。()の中が本音です。マホ(なのかKCなのか)のプレースタイルが強かった頃のNEや晩年のブレーデー様を思い出させるもので、アレルギーで鼻水は出るし目は痒いし大変なのです。
そのため、なぜ今年のマホがブレーデー様を想起させるのかをまとめてみたいと思いまして。なお、すべて印象のみで話を進めるので異論は認める。
ブレーデー様という人
ブレーデー様というのは、もう知らない人も多いでしょうけれど、本名をTom Bradyという、NFLのQBだった人です。2000年から2022年までプレーして、パス成績は合計89214yds、649TD。そして何より7回もスーパーボウルに勝った、殿堂入り確実の記録を持っています。
ブレーデー様のプレースタイルの変遷
ブレーデー様は長くプレーしたこともあり、プレースタイルが何度か変わっています。
シンデレラボーイ期(2000年〜2006年)
ブレーデー様は2000年のドラフト全体199位でNEに指名されました。下位も下位です。しかもチームには全体1位指名のエースQBブレッドソーがいました。当然誰もブレーデー様に期待なんてしていませんでした。
しかし、2001年にエースQBブレッドソーが怪我をして、ブレーデー様に出番が回ってきました。すると、あれよあれよと勝ち進み、ブレッドソーの怪我が治っても出番を譲らず、なんとそのままスーパーボウルも勝ってしまいました。そして、2001年、2003年、2004年とスーパーボウル制覇。まさにシンデレラボーイでした。
とはいえ、この頃のNEというチームは、HCベリチーのまとめるディフェンスで勝っていた印象です。ブレーデー様のスタッツも、それほど目立つものではありません。カッコ内は年齢。
- 2001(24):2843yds,18TD,12INT
- 2003(26):3620yds,23TD,12INT
- 2004(27):3692yds,28TD,14INT
パサー期(2007年〜2013年)
その後ブレーデー様はパサーとしても成長しました。特に絶対的なエースWRモスを得た2007年シーズンには自己最高の4806ydsを投げました。そして、怪我とリハビリがあったりモスがいなくなったりなんだりして停滞もありましたが、2011年には自身初の5000yds超え。
- 2007(30):4806yds,50TD,8INT
- 2011(34):5235yds,39TD,12INT
2009年にはジゼル様と結婚。公私ともに派手期。
しかし、この間はスーパーボウルに勝っていません。破壊力抜群だった上記2年はどちらもスーパーボウルでNYGに負けています。僕ら素人はこれをイーライの魔力で片付けますが、ブレーデー様はさらに勝てる形に進化する道を選んだのです。知らんけど。
老練期(2014年〜2019年)
的確にディフェンスを読み、素早く判断し、正確なパス投げる、というポケットパサー(笑)のあるべき姿を極めたのがこの時期です。豪快なロングパスや派手なトリックプレーは少なく、短くても着実なパスを積み重ねて淡々と進んでいくようなイメージのオフェンスに変わりました。
パスラッシュが来る前にパスカバーのいないところに投げりゃ良いんだよ、みたいな。そりゃ言うのは簡単だけど実際にできるやつなんていねーんだよっていうことをやってのけていた。ファンなら痺れるし憧れるかもしれませんが、この時期のNEのせいでアレルギーを発症してしまった人は全世界に400億人くらいいるはずです。
この時期に3回スーパーボウルに勝っていますが、スタッツはまた若干地味になりました。
- 2014(37):4109yds,33TD,9INT
- 2016(39):3554yds,28TD,2INT
- 2018(41):4355yds,29TD,11INT
パワーランが多めだった印象もありますが、勝負所で必要なだけパスを通すという芸風を確立したので、これくらいで勝てちゃったわけです。
リゾート期(2020年〜2022年)
2020年にTBに移籍した後は、楽しい南国ライフを謳歌しながら、シーズン成績なんてどうでも良いから瞬間最大風速だけ勝負所に合わせて勝っちゃおうという雰囲気になりました。
この時期については書きはじめるまですっかり忘れていたので、今回は触れません。
マホという人
そして問題のマホです。
マホは今年有名になったテイラー・スィフトの彼氏の人ではないので知らない人も多いでしょうけれど、本名PATRICK MAHOMES II、直近のスーパーボウルで勝ったKCというチームの現役選手です。邪悪なほどのパス能力を持っています。NFLのパワーバランスを乱した張本人です。
2017年にプロ入りしましたが、ルーキーイヤーは修行、試合にはほとんど出ませんでした。その後、邪悪さを発揮します。
- 2018(23):5097yds,50TD,12INT
- 2019(24):4031yds,26TD,5INT (*14games)
- 2020(25):4740yds,38TD,6INT
- 2021(26):4839yds,37TD,13INT
- 2022(27):5250yds,41TD,12INT
- 2023(28):4183yds,27TD,14INT
マホが邪悪ということはわかっていたのですが、問題は今年のKCがあの頃のNEのような雰囲気を感じさせたことです。つまり、マホがブレーデー様の老練期のようなプレーをし始めたということです。なぜそう感じたのか、どうプレースタイルが変わったのか。
初期型マホ(2017年〜2022年)
実質デビューの2018年、ブレーデー様のパサー期の記録である5000ydsと50TDをいきなり達成しました。そして翌年スーパーボウルを初制覇。いわばブレーデー様でいうところのシンデレラボーイ期とパサー期が一気にきたわけです。
ここまではね、おめでとうって言えました。しかしその後も勢いは止まらず、どんどん邪悪さを増していったのです。2022年に2度目の5000yds、2度目のスーパーボウル制覇。とどまるところを知らない異次元パサーとして完成したかに見えました。
新型マホ(2023年〜)
今年、マホの芸風が変わりました。というより、チームのオフェンス全体が変わった印象です。KCファンにすら地味でつまらないと言われるような、スケール感のない雰囲気になったのです。このまま衰弱しちゃったら良いのに、なんて軽く思っていました。
しかし、プレーオフに入ってから、新型マホの恐ろしさが見えてきました。
なんか突然完成しちゃった感じ。ブレーデー様でいうところの老練期のような印象です。
ブレーデー様がその領域にたどり着いたの37歳の時だぞ。マホまだ28だぞ。
ブレーデー様がパサー期にいた8年間、スーパーボウル勝ってないんだぞ。マホはそれをすっ飛ばすのか。
10年くらい迷走してから新しいスタイルにたどり着けよ。
邪悪。邪悪な上に老練だったら手のつけようがありません。
邪邪悪悪とでも言えば良いのかって感じ。
勝負強さと投げ分けとサラリーキャップ
さて、とはいえ誰でも老練期モードに入れるわけではない。何が必要なんだろう。
まず、勝負強さは絶対に必要です。いつでも点が取れるけどあえて抑えているくらいでちょうど良いのかもしれません。最後に点を取って勝てば良いんだから。ただし、そのためには点差を広げられすぎない、オフェンスがネタ切れにならない程度の失点に抑えるための、そこそこ強いディフェンスも必要ではあります。まあ、そこまではチームの底上げが必要という前提として。
そして、多くのレシーバーに投げ分けられることも必要な気がします。これはサラリーキャップ制度とも関わりがあります。シンデレラボーイ期やパサー期を経たQBは評価が高まりサラリーが高騰するため、絶対的なエースレシーバーを確保しにくくなる。その結果、いわゆる「ブレーデー様と仲間たち」状態のチーム編成にならざるを得ません。エースになれるレシーバーが不足していても勝つためには、多くのレシーバーに投げ分けるしかないのでしょう。老練さが必要になる最大の原因はサラリーキャップかもしれません。
ブレーデー様の場合
各シーズンの主なレシーバーと、獲得ヤード数上位3人の合計の、その年の全パスヤード数に対する割合です。パサー期にはエース格のターゲットへの偏りが見られますが、2018年になると分散されたように見えます。
ディフェンスからしても、4人目5人目のレシーバーまで守るのは難しい。そのため、エース格の選手でなくてもパスを通せるのでしょう。ただし、それができるQBは限られています。
逆にいえば、モスやウェルカーのような分かっていても止められないレシーバーがいるならば、QBはそこそこでも良いということになるのかもしれません。おっとツア(ヒルとワドルで61%)の悪口はそこまでだ。
マホの場合
マホは、2022年と2023年のTOP3への集中具合はほとんど変わりませんでした。ヒルがいなくなって以降、WRにはエースと言えるレシーバーがおらず、TEが一番ヤードを稼いでいるという特殊な事情が、投げ分けている印象を強めるのかもしれません。
あるいは今年は本当にオフェンスが低調で、マホの勝負強さだけでなんとかした…ってコト?
来年のマホはどっちだ
色々考えたけど、来年マホがまた5000yds投げるかもしれません。特にプレーコーラーが変わったらすぐ戻りそう。
まあとりあえず、8000yds投げても良いから3連覇はやめてねってことで。
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