[04]02(12)フレックスボーン
今日は歴史上の遺産のお話です。
なんぞ…?
難しい話…?
いいや、今はもう使われてないフォーメーションのお話。
まあ今までの話も大体そうだったけどね。
難しくないよー。役にもたたないだろうけどー。
ウィッシュボーン・フォーメーションは、トリプル・オプションのためにつくられたみたいなものだったから、他のプレーがちょっとやりにくかったわけね。とくにパス・プレーは苦手だったんだ。選手が中央に集まって配置されてるし、RB型の選手が多いから。
その弱点を補うために改良されて生まれたのが、このフレックスボーンだよ。
まずウィッシュボーンの両サイドのエンドを離してSEにする。するとTEがいなくなっちゃうから、そのかわりに両側にウィング・バックを配置する。3人いたRBのうちの2人をWBにしちゃったので、QBの後ろにはRBが1人だけになってるね。
この2人のWBを、このフォーメーションでは特にフレックス・バック(XB)って呼んだんだ。なぜなら、とても柔軟に(フレックス)、いろんな役割で使われたから。
ウィッシュボーンからフレックスボーンに受け継がれたトリプル・オプションをやる場合、右側へのプレーのときには、右側のフレックス・バックがTEのようにブロッカーになり、左側のフレックス・バックが回り込んできてHBの役割になる。
フレックス・バックはその他にも、
RBがボールを持って走る普通のラン・プレーでは、TEとしてブロックする役割になる。
さらにパス・プレーのときには、WRに近いパス・ルートに出ることにもなる。
こんなにいろんな役割をこなすフレックス・バックさん、かっこいいでしょ。
おれ、みたい、だね
お前はブロックが大好きなんだろー。
確かにね、たくさんの役割を持ってるのはかっこいいんだけど、ウィッシュボーン・フォーメーションではTEとHBがそれぞれ別の選手だったでしょ。フレックス・バックはその両方の仕事をしないといけないんだよね。だけど、そんなにフレックス(柔軟)な、走れるしパスも捕れるしブロックもできる選手なんてたくさんいないよね。
おれ、くらい、だな
お前パス捕るの下手だろ、鮭みたいに叩いちゃうだろ。
さらに1980年代に近づくと、パス・プレーのバリエーションがどんどん豊富になって、パス・プレーをする回数も増えて、パスを投げるQBの役割が重要になっていったんだ。そうなると、QBに怪我をされては困るわけで、QBが自分でボールを持って走るオプション・プレーはほとんど使われなくなっちゃった。
そして、一人の選手がいろんなことをするのではなくて、それぞれのポジションには一つの役割を与えて、選手を入れ替えて特徴を活かすっていう使い方がアメフト全体に浸透していった。
そんなこんなで、いまじゃフレックス・バックみたいな大変なポジションはなくなっちゃったんだね。でも、WBとかTEがリバースしてランナーになるっていう、似た雰囲気のプレーはときどき見るよ。
おれ、仕事、なくなっちゃったってわけかあ。
そうだよ。山に帰れ。
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