[06]01(3)オンサイド・キック
なんかさー、キックがほとんど飛んでなくって、両チームがボール取り合うのってあるよねー?
あれってなんすか!?
オンサイド・キックだろー。蹴る方のチームが攻撃権をとりたいときにやるんだよー。
それなら横にちょっと蹴って自分で捕っちゃえばいいじゃろ!
なんであんな遠くまで蹴るのー?
そういうルールがあるんだよ。あんまり簡単に攻撃権とれちゃったらダメでしょやっぱり。
まず基本ルール。キックオフで蹴られたボールは、10ヤード飛んだ時点で、捕った方のチームのものになる。つまり攻撃権は捕った方のものってことね。
だから、ラッシュ・チームと呼ばれていても、10ヤード以上飛んだボールを捕れば、そのままオフェンスができるんだ。で、ラッシュ・チームがボールを捕るのを積極的に狙ったプレーがオンサイド・キックって言うわけ。
残り時間が少なくなって負けているチームは、得点したとしても、その後で相手チームにオフェンスをされると時間がなくなって、そのまま負けちゃう。そこで、オンサイド・キックをして、もう一回つづけて攻撃したいなーって考えるんだ。
ただ、前に向かって蹴らなきゃいけないんだから、ラッシュ・チームはそれを追いかける形になるよね。待ち構えて受け取ることのできるリターン・チームに比べれば、もちろん奪い取ることはむずかしい。
オンサイト・キックで一番よくみられるやりかたは、キッカーがボールを大きくバウンドさせて蹴って、ちょうど10ヤードを越えたところで落ちてくるようにするってやりかた。ラッシュチームはボールが空中にあるうちに落下点に走りんで、リターン・チームの選手と奪い合う。
上から見ると、フィールドの端のように集まっていく感じ。
横から見ると、いったん上がったボールが落ちてくるところに、全員が集まってくる感じ。
もちろん楕円形のボールだから思ったとおりにバウンドさせるのも難しい。それから、10ヤード飛ばないうちにラッシュ・チームがさわったら反則になる。リターン・チームは10ヤード以内でも捕って良い。成功させるにはいろいろ難しいし、運も必要なプレーだね。
キック・オフのときには、キッカーの片側に6人まで選手を配置することができるから、このやりかたのオンサイド・キックでは蹴る側の人数を増やすことが多い。リターン・チームも対抗して、いつもはブロック専門の選手がいる最前線に、WRとかキャッチの上手な選手を集めるようになる。
もうひとつ、普通に蹴るとみせかけて、ボールを横向きにまっすぐ転がるように蹴って、キッカーやキッカーに近い中央の選手がリカバーしにいくっていうやりかたもある。
ちょんって蹴って、ころころしてるのを押さえるわけね。これも10ヤード転がらないとダメだから、ぎりぎりのところを狙う。強すぎるとリターンチームが捕りやすくなるし、弱すぎると10ヤード転がらないってことになっちゃうからね。
この方法は、リターン・チームがオンサイド・キックがくると思ってないときにやることが多い。最前線の選手は、いつもどおりリターンのためのブロックをするために、できるだけ下がろうと思ってるから、ボールに追いつくのが遅れちゃうってときを狙うんだね。
ボールが10ヤード飛ぶ前でも、リターン・チームの選手がさわった後ならラッシュ・チームも捕ることができるから、リターン・チームの選手がさわった瞬間にハードヒットしてファンブルさせるっていう狙いかたもある。
それから、ラッシュチームの最前線にいる選手を狙って強いボールを蹴ることもあるよ。15ヤードくらいの距離で思いっきり蹴ったボールだから、ブロック要員でボールの扱いに慣れていない選手だとなかなか上手く捕れない。はじいたところをリカバーすれば成功ってわけ。
まあこれは成功率も低いから、ゴロのキックを蹴るときにあわよくば、って程度でやったりするのかな。
とりあえず、むずかしいってことだな?
成功率は20%くらいみたいだね。
意外と成功するんだねー。そしたら毎回やろうよー!
またそれか。失敗したときのことを考えてないな。
だめだったらディフェンスすればいいやーって思ってるだろ。
オンサイド・キックは、わざと10ヤードちょっとしか飛ばさないんだよ。だから失敗したら、相手チームの攻撃は50ヤードくらいからはじまるって考えないといけない。ってことは、得点される確率がすっごく高くなっちゃうってことだね。
そんなことを毎回やってられないよな。
- 前のページ:
- [06]01(2)キック・オフ・ラッシュ
- 次のページ:
- [06]02(1)パント・ラッシュ