[07]03 時計の止まるとき
時計が止まったり動いたりって、べつに、俺のせいじゃないしー
こら、ちっちゃくなってもダメだ。NFLはプロじゃ。ただ何となくプレーしてたら時計が動いたとか止まったとか、そういうレベルじゃないんじゃ。
つまり、どのように残り時間を減らし、または減らさないようにするかってのは、ある程度コントロールできるってことね。
両チームがそれぞれオフェンスをしていた時間の長さをタイム・オブ・ポゼッションって言うんだけど、獲得ヤード数と同じくらい重視されるんだよ。片方がオフェンスをしている間はもう一方のチームは攻撃が全くできなくなるでしょ。だから、できるだけ時間をたくさん使って攻撃したい(または、相手に攻撃させたくない)チームは、時計を止めないようにプレーをするわけだね。
逆に、残り時間が少なくなって負けているときなんかは、時間をできるだけ減らさずに得点したいってことになる。そしたら時計が止まることを頻繁にする必要があるね。
常に時間のことを考えながら試合を組み立ててるんだよ。
こういうことがあったら時計が止まるからな、覚えとけやー。
得点が入ったとき
得点が入ると時計は止まる。で、タッチダウン後のトライ・フォー・ポイントでは時計は動かない。次のキックオフで、リターン・チームがフィールド内でボールに触ったら時計が動き始める。エンド・ゾーン内でリターナーがボールを捕ったときには時計は動かなくって、リターナーがエンド・ゾーンを出たら動き始めるわけね。だからタッチバックでは時間は減らないままだよ。
サイド・チェンジがあったとき
パントを蹴るのはオフェンスのプレーのひとつなので、プレー中は時計が通常どおり動くよ。それを相手チームが捕ってリターンする間も、パントされたボールが誰にも受け取られずにフィールドを転がってる間も、時計は止まらない。
ただそのプレーが終わって、攻撃権が移動したときに時計が止まるんだ。パントされたボールがフィールドの外に出たり、タッチバックになったときにも、そこでサイド・チェンジになるから時計は止まるよ。
フィールド・ゴールを失敗したとき、4thダウンのギャンブルが失敗したときも、サイド・チェンジだから時計が止まるわけね。
反則があったとき
プレー中に反則があると、その罰則を適用するしないに関わらず、いったん時計が止められる。審判が反則の説明をして、適用したりしたなかったりして、次のプレーが始まるときに時計は動きだす。
怪我人がでたとき
プレーが終わった時にフィールド内で動けなくなった選手がいたら、審判はインジャリー・タイムアウトってのを宣言して、怪我人の対処をする。もちろんその間、時計は止まってる。
ただし、前後半とも残り時間が2分を切ってからは、怪我人が出たチームにタイムアウトが残ってると、強制的にそれを使わされるから注意ね。オフェンスしてるチームにタイムアウトが残ってなければ、残り時間が10秒減らされる。これは残り時間が少ないからって、怪我のふりをして時計を止めようってするのを防ぐためだよ。まあ適用されるのはオフェンス側に対してだけだから、ディフェンスはちょっとまずいなー混乱しちゃったなー、ってときに怪我の振りして時間つくろーってことができちゃってるんだけどね。
メジャーをするとき
ファースト・ダウンが取れているかどうか、目視では判断できない微妙なとき、メジャー・チェーンを使ってファースト・ダウンが取れているか測るよね。この間は、審判がオフィシャル・タイムアウトってのを宣言して時計を止めてるんだ。
他にも、審判が集まって協議するときなんかには、オフィシャル・タイムアウトが取られて時計が止まるよ。
時計を止めたかったら、オフェンスだったら反則したらいいし、ディフェンスだったら怪我したふりってことだね?
違うわ。
今まで説明したこれらは、試合をしているチームが意図的にやることができないものだよ。反則はわざとできるけど、時計を止めるために罰則を受けちゃ損だし。
なので、戦術的に利用できる、時計が止まるときってのはこちら。
タイムアウトを取ったとき
両チーム前後半3回づつタイムアウトが取れる。ディレイ・オブ・ゲームを避けるとか、選手の交代がスムーズにいかなかったときとか、相手が思ってたのと違うフォーメーションだったときとか、そのままプレーを続けたら失敗する絶対無理ってときにも使われるんだけど、試合終盤で時間をコントロールするために使わずに残しておくってことが多い。っていうか理想。
次のプレーが伝えきれなくってタイムアウト取らなきゃいけなくなっちゃうとかってのは無駄ってことさ。
ボール・キャリアがフィールドの外に出たとき
ボールを持ってる選手がアウト・オブ・バウンズに出るとプレーが終了したことになるよね。そのとき同時に時計も止まる場合があるんだ。それは、前半残り5分、後半残り2分を切ってから。それまではアウト・オブ・バウンズに出ても、次のプレーの準備ができたらすぐに時計が動き始める。
フィールド内でタックルされたりしてプレーが終わったときには、残り時間に関係なく、時計は止まらないよ。
なので試合終盤になると、勝ってるチームは時計を止めたくないからフィールド内側へのプレーが多くなって、負けてるチームは時計を止めたいから外側へのプレーが多くなるってわけね。
パスが失敗したとき
これもプレーが終了するとともに時計が止まる。だからラン・プレー中心のチームの試合は時計が早く進むし、パス・プレー中心のチームでは時計が止まりがちになって試合時間が長くなる傾向があるよ。
スパイクしたとき
QBがスナップを受け取ってすぐに自分の足元にボールを投げ落とすのをスパイクって言うよ。故意にパスを失敗するんだけど、これはインテンショナル・グラウンディングって反則にはならない。普通のパス失敗として扱われるんだ。
もちろんダウンはひとつ無駄にするわけなんだけど、それで時計が止まって、次のプレーも同じ位置から始められるっていうメリットがあるわけね。残り時間が少ないときによく見られるよ。
じゃーなにかい?
勝ってるチームのRBはサイドライン出ないで、フィールドの中でタックルされなきゃいかんってことかい?
おうよ。いっつもそうってわけじゃないけど、残り時間が少ないときなんかは基本だね。
さすがでげすなー。
タックルされるの痛いじゃん、外でたいじゃん…
痛みを愛せ!
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