[09]03 主な反則01 プレー前の反則
オフィシャルのもう1つのお仕事は、反則があったらそれを指摘して、罰則を適用することだよ。
反則ってオフェンスとディフェンスも違うし、ポジションによっても違うでしょー?
いっぱいあってわからんぞい。
まあね、シチュエーションごとにルールが変わることもあるし、ランかパスかだけでも、何が反則になるのか変わっちゃうからね。
でも、いままでのフォーメーションとかプレーのところでもルールの説明は少しずつでてきてたし、もう大体わかってるはずだよ。
反則になるのは基本的に、ずるいこと、危険なことの2つね。具体的には後で見ていきまーす。
で、反則とセットになる罰則。これは基本的に、フィールド・ポジションを移動させられることなんだ。つまり、オフェンスはロスしたのと同じでゴールから遠くなる方向に動かされちゃうし、ディフェンスはゲインされたのと同じで相手にゴールに近づかれちゃうことになる。なので、何ヤードの罰退、って表現するよ。
さらにオフェンスには、ダウンの喪失っていって、ダウンが一つ進められる、つまり攻撃の機会が減らされることもある。ディフェンスにはオートマチック・ファーストダウンっていう、相手のオフェンスが次のプレーでまた1stダウンからはじめられるっていう罰則もあるよ。
反則に気づいたオフィシャルはイエロー・フラッグを投げる。
ただし、その時点ですぐにプレーを止めて罰則が適用されるってわけじゃない反則もある。プレーが終わった後でオフィシャルが確認して、反則をされた側のチームがそれを適用してもらうかどうかを決めるってわけね。
じゃ、とくに代表的な反則とその罰則についていってみよう。
まずはプレーが始まる前の反則から。
■ディレイ・オブ・ゲーム
アメフトってプレーごとに動きが中断されるから、中断してる時間(次のプレーまでの時間)を決めておかないと、いつまでもプレーしないで時間稼ぎされちゃうよね。それか、オフェンスがプレーを決めてからディフェンスを見て、やっぱりプレーを変更しようってのが何回もできちゃう。それはずるい。
そこで基本的に、ひとつのプレーが終わってから40秒以内に次のプレーをはじめないといけないっていうルールがあるんだ。プレーをはじめるタイミングを決めるのはオフェンスだから、時間に間に合わなかったときにはオフェンスの反則になる。
反則があったときは、審判は声が聞こえにくくてもわかるように反則ごとのジェスチャーをしながら説明するよ。
体の前で腕を重ねる。
5ヤードの罰退。プレーが始まる前の反則なのでダウンは進まず、5ヤード下がったところから次のプレーをする。
■選手の交代に関する反則(イリーガル・サブスティトゥーション)
アメフトは交代する選手の人数に規則はない。何人でも交代していいんだ。ただし、自分のチームのサイド・ライン以外からフィールドに出入りしたり、ハドルまでいって1プレーもせずにベンチに戻ったりしたら反則。ハドルを12人で組んだ時点でアウトね。通称「12人いた!」。
たくさん選手をフィールドに入れれば相手を混乱させられるし、それで相手の出方を見て選手やプレーを選択できるからね、ずるいでしょ。
両手を頭に。
5ヤードの罰退。これもプレーが始まる前の反則なのでダウンは進まず、5ヤード下がったところから次のプレーをする。
■フォルス・スタート
オフェンスの選手が、プレーがはじまる前に動いちゃうと反則だったね。プレーをはじめるタイミングってのはオフェンスが決められるけど、プレー開始前1秒間は全員が静止しなきゃいけないんだ。
そうじゃないと、プレーがはじまるタイミングに合わせて助走をつけてブロックするなんてことができたらずるいからね。
両腕をぐるぐるする。
ぐーるぐーる。
5ヤードの罰退。プレーが始まる前の反則なのでダウンは進まず、5ヤード下がったところから次のプレーをする。
■イリーガル・モーション
オフェンスの選手は基本的に、プレーがはじまる前1秒間は全員が静止しなきゃいけないんだけど、ラインの7人以外の4人のうち1人だけは、その間も動くことが許されていて、そのまま動きながらプレーを開始することもできるんだ。これはマン・イン・モーションって言う。
ただしもちろん2人以上が同時に動いていた場合には反則になる。
片手を首のところに。
アイーンだねこれ、アイーン!
5ヤードの罰退。プレーが始まる前の反則なのでダウンは進まず、5ヤード下がったところから次のプレーをする。
■イリーガル・シフト
オフェンスの選手はプレーがはじまる前1秒間は全員が静止しなきゃいけないんだけど、だからっていって静止したら絶対にプレーをはじめなきゃいけないってわけじゃない。一度並んだ後で、フォーメーションを組み替えて、また1秒静止すれば良いんだ。その動きをシフトっていうね。
ただ、そこで静止してた時間が短かったって判断されたり、他の選手がまだシフトを終えていないうちに、他の選手がインモーションをはじめちゃったりすると反則になる。ルールで許されている以上に相手を混乱させるようなずるいことしちゃいけないんだよ。
体の前で両手を開く。
両手水平チョップ!
5ヤードの罰退。プレーが始まる前の反則なのでダウンは進まず、5ヤード下がったところから次のプレーをする。
■イリーガル・フォーメーション
LOS上には7人の選手がいなきゃいけない。これオフェンスの原則ね。これを満たしてなかったときの反則。あとはプレーが始まるときにディフェンスが12人フィールドにいるのもこの反則になるよ。
両手を交互に上下させる。
フォルス・スタートのぐるぐるじゃなくって、垂直方向にバタバタ動かす。
5ヤードの罰退。プレーが始まる前の反則なのでダウンは進まず、5ヤード下がったところから次のプレーをする。
■オフサイド
ディフェンスの選手はプレーがはじまるときに静止してる必要はないけど、LOSを越えていたらもちろん反則。
両手を腰に。。。
腰が、どこだかわからん。。。
こうだろ!
こんなこともできねーすんかねー!
5ヤードの罰退。
で、この反則は、反則があった時点でイエローフラッグが投げられるんだけど、オフェンスはプレーを中止しなくてもいいんだ。そのままプレーを続けていいってことね。
反則発生時点で、オフェンスはこの反則によって不利益を受けてるから、プレーの結果を無効にして5ヤードのゲインをもらう権利を得た、って考えてね。
反則を適用した場合は、反則が起こった時点に戻るから、その後のプレーの内容は無かったことになるよ。でも、プレーで大きくゲインができたら、反則を適用してもらわなくてもいいんだ。だから、QBがオフサイドに気づいたときには、普通ならリスクが大きくて投げられないような無理なロングパスを投げたりすることが多いよ。失敗したりインターセプトされたりしたら、反則を適用して5ヤード進めばいいし、運よくパスが通ればその分ゲインできるからね。
■エンクローチメント
オフサイドはプレー開始時にディフェンスの選手がLOSを越えている反則だったね。でも、一度LOSを越えちゃっても、プレーが開始されるまでに自分の陣側に戻れば問題ないんだ。ただし、オフェンスの選手に触っちゃったら、その時点で反則になる。
これはプレー開始前の反則で、その場で罰則が適用になる。オフサイドと違って、オフェンスがそのままプレーを続けることはできない。
ゼスチャーはいっしょ!
5ヤードの罰退。オフェンス側が5ヤード進んで、次のプレーをする。もちろんダウンは進まない。
■ニュートラルゾーン・インフラクション
オフェンスの選手はプレー開始前に静止しなきゃいけない。動いたら反則。でも、LOS近くのディフェンスの選手が突っ込んでくるふりをしたのにつられて動いちゃったっていう場合には、それを誘発したディフェンスのずるい行為だってことで、ディフェンスの反則になるんだ。
ディフェンスがプレー前にオフェンス側に入ってきちゃうは全部おなじゼスチャーでげすな!
これもエンクローチメントと同じで、プレー開始前の反則。なのでダウンは進まずに、5ヤードの罰退。
これは、ここ数年の間に(ディフェンスにとって)厳しくなったルールだね。ブリッツのふりをされて動いちゃったら、そんなのオフェンスの反則だろって思わないこともないんだけど。
実際のところ、オフェンスのフォルス・スタートなのか、ディフェンスのニュートラルゾーン・インフラクションなのかの判断はオフィシャル次第って感じがするね。だからイエローフラッグが投げられたときは、オフェンスとディフェンスがお互いに相手の反則だろって主張しあうことが多い。
ディフェンス「あー、動いた、バーカ!」
オフェンス「うるせー、お前のせいだろ、バーカ!」
ディフェンス「バカって言ったやつがバカなんですー!」
オフェンス「じゃあお前がバカじゃねーかよバーカ!」
みたいに指をさしあって罵り合う小学生のケンカみたいな絵になるから注目ね。
以上が、プレーがはじまる前の代表的な反則でーす。
たとえば、オフェンスが3rdダウン残り5ヤードでホールディングの反則をして、そのプレーでゲインができていなかった場合。反則を適用すると、10ヤードの罰退になるけど、ダウンは進まないんだ。
だから、3rdダウン残り15ヤードになる。ってことは、ディフェンスにとって、相手が下がったけど、もう一回3rdダウンやり直しになるから、プレーをするチャンスを与えちゃうってことだよね。そしたら反則は辞退して4thダウン残り5ヤードにしたほうがいいかもしれない。
つまりあれだ!
プレーの前にはちゃんと並べってことだ!?
んー。
まあ、大体そんなもんだ。それでもいいや。