[06]02(2)パント・リターン
パントを蹴るチームがあれば、それを捕ってリターンするチームがあるな?
おうよ!
それをパント・リターンって言うな?
おうよ!
パントはキックオフに比べるとリターンするのが難しいな?
お、おうよ…!
(知らない…)
いいよいいよ大丈夫だよ説明するよ。
なぜならばだなー。
■リターナー以外の選手をフィールドの奥に配置しちゃうと、パント・フェイクが怖い。だからどうしてもブロッカーが少ない。
■パントは高く蹴り上げるから、ボールが空中にある間にラッシュ・チームの選手がリターナーに十分近づけちゃう。
っていう2つが主な理由かな。
そのため、組織だったブロックもあんまりできず、ただリターナーまかせのプレーになりがちで、リターナーはラッシュしてくる相手の選手たちを一人でかわしていかなきゃいけない。大変。
ということで、平均10ヤードリターンできれば優秀なリターナーとされるくらいなんだよ。
10ヤードしかできないのー?
うん。10ヤードでも大変なんだよ。
パント・リターンのパターンは大体2つに分けられる。
一つ目はパントをブロックしちゃうって作戦。
ブロックしてる相手ラインの間からLOSを割って入っていって、パンターが蹴ったところを押さえにいく。外側からは足の速い選手が入ってくる。
パンター自体をタックルするんじゃなくって、足元に飛び込んで、蹴られた直後のボールを叩き落すってイメージね。パンターはボールを蹴るときも蹴った後もすごく無防備になるから、直接パンターにぶつかるのは禁止なんだ。
すげー!
ブロックしちゃえば次はその場所から攻撃でしょー?
リターンとかするよりいいねー!
まあそりゃそうなんだけど、やっぱりパントをブロックするのは難しいんだよ。蹴る側のチームも、ロングスナップして十分な距離を稼ぐし、ブロックだってするんだからね。
パントをブロックしにいくには、勢いよくLOSを越えてパンターまで到達しなきゃいけない。ってことは、その選手たちは、もしパントをブロックできなかったとしても、その後で相手チームの選手をブロックすることはできない。ってことは、ラッシュ・チームはパントさえちゃんと蹴れれば、ブロックされずに簡単にリターナーまで近づける選手がたくさんできる。ってことだね。
つまりパント・リターン側から見ると、パントをブロックしにいくっていうことは、それがダメだったときのリターンは最初から諦めてるってこと。
そこでもう一つの作戦。
パントを受け取って、ちゃんとリターンしようってプレーがある。
ボールが蹴られるまでにパンターに近づくことはあきらめて、ラッシュ・チームがリターナーに到達するのを少しでも遅くするために、できるだけブロックするってやり方だよ。ボールが飛んでいる間はリターナーの方向に戻るって選手も多い。
リターナーがパントを捕ったときに、ラッシュ・チームとの間に距離があったり、ブロッカーがいたりすれば、タックルをかわせる可能性も大きくなる。その状況をつくりだそうってことだね。
ってかパントのリターナーってさー、ボール捕ってすぐに思いっきりタックルされて怖えー!痛てー!ってイメージだよね!
パント・リターンはキックオフと違って、リターナーがボールを捕るときに、ラッシュ・チームが目の前まできてることが多いからね。
まずは落ちてくるボールを捕るのに集中しなきゃいけないリターナーに、40ヤードくらい全力で走ってきたラッシュ・チームがぶつかるんだ。怖いよねー。
なのでリターナーは、ボールを捕ったあとでリターンしないって宣言することができるんだ。で、その場合にはラッシュ・チームはリターナーに触っちゃいけないっていうルールがある。これをフェア・キャッチっていう。
リターナーがボールを捕る前に、自分の頭の上で肘を伸ばして一往復以上腕を振るってのが合図。そしたら、リターナーは捕った場所からリターンできなくなる。その代わり、ラッシュ・チームもリターナーに触っちゃいけなくなる。
リターン・チームの味方が上手くブロックできなかったときなんかに、リターナーが「これじゃリターンできないよなー」って判断したらフェア・キャッチにする。安全策だね。捕ってすぐにタックルされたら、リターンができないだけじゃなくって、ファンブルする危険も大きくなっちゃうからね。
取引でやんすな。
オレ、リターンしない。オマエ、タックルしない。
それからパントは、蹴られた時点でリターン側のボールってことになるんだ。だからリターナーが必ずボールを捕る必要はない。
キックオフのときみたいに、蹴られたボールをラッシュ・チームがおさえたら次はラッシュ・チームのオフェンスになる、ってことはないんだね。蹴られたボールをリターン・チームよりも先にラッシュ・チームが触ったら、その地点でプレーが終わって、次はそこからリターン・チームのオフェンスになるよ。
ただし、リターン・チームの選手がボールに触れたら、例えばリターナーが捕りそこねたり、リターン・チームのブロッカーにボールが当たったりしたら、そのときはファンブルと同じ扱いになって、ボールを確保した方のオフェンスになるからね。リターナーがリターン中にファンブルした場合ももちろん同じだよ。
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