[イルカ観察日記] 我らいかにしてタンクに失敗したか

[イルカ観察日記] 我らいかにしてタンクに失敗したか

今年もNFLシーズンが終わりました。プレーオフとかいうエキジビション・マッチはまだいくつか残っているようですが、参加チームのみなさまにおかれましてはご苦労様です。

マイアミ・ドルフィンズの2019年シーズンは、
・5勝11敗(AFC東地区4位)
・ドラフト順位5番目
で終了しました。

今年は思い切りタンクしてドラフト全体1位を獲得するというのがシーズン前の多くの人たちの予想だったのですが、どうにも中途半端な結果です。
タンクという意味では失敗。全体1位でQB取るはずだったのになー。

なぜドルフィンズはタンクに失敗したのか。
まあ意外と強くなっちゃったね、ということなんですが。
今シーズンを振り返ってみます。

マイアミ・ドルフィンズのヘッドコーチ、ブライアン・フローレス


■新HCフローレス就任

まず今年は組織を大幅に組み替えてのスタートとなりました。
去年まで実質的に最も大きな権力を持っていたタネンバウムをついに追放。やったぜ。
去年は名ばかりGMだったグリア―が本質的にもGMとして実権を握ります。
そして前NEの実質的なDCだったと言われるフローレスを新HCに招聘。
OC、DCもNE経験者で固め、もはやマイアミ・ペイトリオッツという雰囲気の組織になりました。


■解体期

おそらくHCフローレスは、数年はどんなに成績がダメダメでもクビにならない約束だったのでしょう、ドルフィンズ史上初ともいえるチーム大改造が思う存分に行なわれました。
勝負は3年後くらいと想定して、そのころまで持たないだろう年齢の選手や、そのころには給料がとても高くなって維持できないであろう選手は、まさに根こそぎ放出、という雰囲気。
別名、解体。

どんどん主要選手を放出してドラフト権を溜めまくります。まさにタンク。
すると、勝てないチームになっていくのに不満を持った選手がトレード志願したり、さらに解体は加速します。
別名、タンクスパイラル(別に誰も言ってない)。

放出した主要選手は
・QB17タネヒル
・LT78タンシル
・WR10スティールス
・FS29ミンカたん
・LB47キコ
・RB32ドレイク
・DE94クイン
・DE50ブランチ
・LS92デニー
などなど。

この段階では誰もがドルフィンズの今シーズン本気タンク、ドラフト全体1位獲得を疑っていませんでした。


■どん底としてのローゼン

シーズンは8連敗でスタート。まあ予想通りです。

特に開幕からの4試合は最悪。
オフェンスはプレーブックすら覚えてないだろって感じで何もできないし、ディフェンスも単純なパスラッシュとザルすぎるDBの組み合わせで大量失点。圧巻の弱さを見せつけました。

そしてついに5週目のバイを挟んだ6週目、QB3ローゼンが初先発しました。
今年唯一のポジティブな試みとも思えたローゼンの獲得。そして巡ってきた先発チャンス。来年からの軸になれるのか。期待はされました。

しかし、結果は惨憺たるものでした。

周りの戦力が整ってないにしても、ディフェンスがまったく見えていない雰囲気、もしかしたらアサイメントも曖昧なんじゃないかと思える動き。
3Qまでで、パス25回中15回成功。85ヤード。2インターセプト。

4Qにはフィッツなんとかさんに交代して怒涛の追い上げを見せたことも相まって、ローゼンのイメージが落ちてしまいました。
その後もリーダーシップの欠如が指摘されたり、OCとの関係もあまり良くなかったのか、次のチャンスはついに来ませんでした。


■チーム構築期

しかし、その後チームは不思議と上向くのでした。

主な理由は、

・ディフェンスのフロントの成長
新システムを覚えた若手、特にDT56ゴッチョー、DT94ウィルキンス、LB55ベイカー、LB52マクミランの動きが非常に良くなりました。

・パスカバーの若干の改善
安いDBの当たりを探すべくひたすら入れ替え続けていたDB陣ですが、S21ロウ、CB40ニーダムあたり、とりあえずまあなんとか、という選手が数人は見つかりました。

・WRパーカーの覚醒
オフェンスは結局どうにもならず、早いタイミングでブン投げるしかできなかったのですが、それをデカい担当のWR11パーカーがたくさん取れるようになりました。これまではドラ1なのにいまいち、というのが定評でしたが、ようやく使いどころが見つかったという感じ。

・フィッツなんとかさんの頑張り
頑張りというか、例年ほど荒れなかったというか。フィッツなんとかさんのせいで試合が壊れちゃったなーということはなかったように思います。

こうして、なんとなくチームの形ができていきました。特にディフェンスはスキームが徐々に浸透していく感があった。オフェンスはその場しのぎ感が強かったけど。


■生き残り争い期

そして、チームの雰囲気が盛り上がった最も大きな要因は、生き残りへのモチベーションでした。

本来ならロスターにも入れないくらいのぎりぎりの若い選手たちが、このチームではプレーのチャンスをもらえた。
そして良い動きをすると、複数年契約してもらえたり、とりあえずIRに入れてまた来年会おう的な「上がり」をして、また空いた枠で次の選手を試す、ということを繰り返す。
最終的には実に21人がIRに入っていました。

シーズン後半は、なんかよくわかんないけどタンクのはずがチームの雰囲気よくなってきたねー、という感じだったのです。タンクを期待していた身としては複雑な気分ではありますが、これだけ負けても選手のモチベーションを維持してチームをまとめられたHCが有能かもしれないという嬉しい誤算とでもいうところでしょうか。


■優勝

第9週以降は、なんと5勝4敗。
そして最終週、ペイトリオッツを破ってシード順を下げてさしあげました。
もはやこれは優勝と同義。
良いシーズン最終週でした。


■思わぬライバルたち

MIAが意外と勝っちゃったというのとともに、意外と勝たなかったチームがいくつもあったのも、タンク失敗の原因です。

MIAよりもドラフト上位のチームは、

・1位 シンシナティ・ベンガルズ
今年も良ければ勝率5割くらいで、と思ったら予想外にぐだぐだだった。たぶんコーチ陣の問題。オフェンスもディフェンスもプレーコールだしてるの元MIAだもん。

・2位 ワシントン・レッドスキンズ
新人QBを育てつつ、今年はベテランでそれなりに勝つつもりだったはずなのに、計画が狂ってハードランディング新人QB抜擢コースに。もちろん勝ち星は伸びず。
HCがクビになったので予定外の低迷だったんでしょう。

・3位 デトロイト・ライオンズ
エースQBの怪我による低迷で、ここも予想外に勝ち星が伸びなかった。怪我が原因なので、来年こそは頑張るっていう方向でHCはクビを免れましたが。

・4位 ニューヨーク・ジャイアンツ
ここもWASとほぼ同じ内容。HC交代も同じ。予定外の低迷。


■タンクとしての結果

そんなこんなでドラフト順は5位ですが、その他にも溜まったものはたくさんあり、

・指名権
1巡3つ
2巡2つ
3巡1つ
4巡1つ
5巡3つ
6巡3つ
7巡1つ

・サラリーキャップ
現状95Mくらいの余裕があります。
さらに、いなくなるとみられているレシャッドをカットするとまた8M近く追加されます。

まあまあ、十分と言えば十分な成果でしょう。
OCの交代などちょっとしたドタバタは発生していますが、とりあえずフローレスの何年か計画は予定通りに進んでいる、と期待しつつドラフト待機に入ります。



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