[04]04(2)5.コンビネーション・パス
よし、先に投げとくパスはわかった!
んじゃー、レシーバーがフリーになりそうな気配がしたらすぐになげるってパスはどんな感じなのん?
タイミング・パスは、まっすぐ走ってたレシーバーが急にコースを変えたりして、ディフェンスをちょっとの間ふりきった瞬間を狙って、先にQBがその場所にパスを投げておくっていう感覚のパスだったね。
そうじゃなくって、QBがレシーバーとディフェンスの動きを見ながら、どのレシーバーがフリーになりそうかを探して投げるパスがあるんだ。これっていう呼び方もないから、コンビネーションパスって言っておこうね。
たとえば、こんな感じだよ。
2人のレシーバーが交差して走って、ディフェンスを混乱させようとしてるんだね。ディフェンスは、もともと正面にいたレシーバーにそのままついていくこともあれば、自分の方に走ってくるレシーバーをカバーすることもある。ディフェンスがどっちの動きをするかによって、レシーバーがフリーになる場所やタイミングが変わってくるよね。QBはそれを見きわめて、パスを投げるところを決めるんだ。
なんか本格的になってきたでやんすな。
まず、ディフェンスがマン・ツー・マン・カバーだった場合。
左サイドについて説明しまーす。
一番左のWRがスプリット・エンド(SE)、その内側にいるWRがスロット・バック(SB)だよ。QBの後ろにいるのがRBね。
SEには正面のCBがくっついてくるけど、SEが内側に走っていくとそのままついてくる。さらにセーフティーもそっちにサポートにいくことが多いんだ。すると、SEがいなくなったサイドライン側のスペースは広く空くよね。そこをSBが使えるし、ディフェンスもSBを追いかけて内側から走ってくるから、その空間にはパスが投げやすいね。
もしもSBがカバーされちゃった場合は、少しタイミングを遅らせてパスコースに出ていくRBがターゲットになれる。RBについていくのは、スピードではちょっと劣るはずのLBだから、かけっこになればRBが振り切れる。そしたら比較的パスは通りやすいよね。
三段構えかあ、よく考えてるじゃねーの。
お前は考えなさすぎだ。飲み行って最初の注文で唐揚げと串焼き盛り合わせとタンドリーチキンとバンバンジーとか頼むんじゃねえよ、鶏ばっかじゃねえか。
じゃ、ゾーン・カバーだったときね。
この場合は、SEとSBが交差してきても、ディフェンスは自分の守るゾーンから動かないから、バランスよく広がってるまま。そうすると、さっきと違って単純にサイドライン側にはディフェンスが誰もいないって状況にはならないよね。
でも、セーフティーはロングパスを優先して守るから、SEをカバーできる位置まで下がらないといけない。ってことは、SBはセーフティーの担当するゾーンの、わりと浅いところを横切るコースを走っていけば、手前のゾーンの内側を守ってるLBと、外側を守ってるCBの間くらい、オレンジの○で囲まれたあたりで、フリーになる可能性が大きくなるよね。ここを狙ってパスを投げるんだ。
CBやLBがSBに早く反応してカバーされちゃったら、それだけディフェンスが後ろに下がったっていうことだから、今度はLOS沿いを走っていくRBとの間に距離ができるから、RBへのパスは通りやすくなる。さらにRBはパスを捕ってからディフェンスがくるまで自由に走れるね。
すげーなオイ!
でもディフェンスのカバーの仕方ってなんぞいや?
どうやってレシーバーにパスを捕らせないように守るかっていう、ディフェンスにとってのアサイメントみたいなもんだね。
ディフェンスについては後でまたゆっくり説明するから、とりあえず代表的なものとして上の2種類があるって思っておいてちょ。
んでさあ、ディフェンスが何してるかをQBが勘違いしてパス投げちゃったらどうなるの?
それはやばいよ。パス失敗するだけならいいけど、インターセプトされちゃったりもする。
ここにはディフェンスいないよねーって思って投げたところに、実はばっちりきちゃったりするわけだからね。
マジで? いきなりインターセプトって、責任重大じゃね!?
それがQBだぜ、ボウヤ(おれラインだけど)。
QBだけじゃなくって、レシーバーもディフェンスによって走るコースを調整したりするから、コンビネーションが悪いと全然ダメダメになっちゃうんだよ。
QBだけじゃなくって、レシーバーもディフェンスによって走るコースを調整したりするから、コンビネーションが悪いと全然ダメダメになっちゃうんだよ。
タイミング・パスに比べると、パスを投げるまでの時間も長いから、パス・プロテクションをするラインにも負担がかかるしね。でもプレー中の駆け引きや動きの変化が醍醐味だから、タイミングパスよりも見所満載だよ。
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