[イルカ観察日記]ゲイスと過ごした3年間

[イルカ観察日記]ゲイスと過ごした3年間

さて、2018年もレギュラーシーズンが終わりました。
年が明けてからも試合をするなんて残業ですから。プレーオフ進出チームのみなさん、お疲れ様です!

というわけで、ドルフィンズはプレーオフには出られないのみならず、HCゲイスをファイアしまして、同時に実質GMに君臨していたヴァイス・プレジデントであったタネンバウムからも実権を奪い、慌ただしい年末年始を過ごしております。
個人的にはゲイスは残して、彼を活かせる組閣をしていただきたかったところではありますが、まあチームの判断ならば仕方ない。というわけで、ざっくりと印象だけでですがゲイス時代3年間を振り返りたいと思います。

■功績:プ出場

ゲイスHC時代の一番の出来事は、就任1年目。プレーオフ出場でした。
シーズン開幕当初はグダグダだったんですが、いつのまにやら勝てるようになり、勢いがつき、あれよあれよという間に勝ち星が積み重なってのワイルドカード。勝ち方が非常に微妙(というか相手の自滅)なのが多かったので、今回のクビの判断時点では評価が落ちた感もありますが、やはりいきなりのプレーオフ進出はすごかった。はず。

・一発必中のオフェンス
このシーズンに目立ったのが、一発ビッグプレーの多さです。今年と同じく基本的にオフェンスはダメダメだったんですが、ときどきプレーコールが当たってロングゲインになった。その多さはなかなか驚くものでした。それらの一見マグレに見えるプレーだけで試合平均21点くらい取ってたんじゃなかろうか(感覚値)。

・狙ったところで決めるディフェンス
それはディフェンスも同様。当時のDCヴァンス・ジョセフのプレーコールが、ときどきブリッツを入れたり、ゾーンブリッツなどの凝ったプレーをしたとき、的中率が非常に高かった(感覚値)。
このオフェンス、ディフェンスともに基本ダメなんだけどたまにビッグプレーが作れるっていう流れによって、どうにか勝ちを積み重ねられてのプでした。

■足りなかったもの

しかし、2年目と3年目はグダグダなままだった。その原因はなんなんでしょう。

・プレー展開の少なさ。つまりQB

ゲイス就任1年目の躍進は、プレーコールの「当たり」の多さによるものでした。
しかし、プレーは研究されるもの。
さらに、ゲイス2年目はタネヒルが怪我をして即席チームにならざるを得ず。そして3年目はタネヒルに成長が見られず。結局同じようなプレーをし続けるしかありませんでした。
もしQBが兄者だったらね。1段階目のプレーを土台にした次の展開を作れたんですけれど。タネヒルにはそれはできません。結局はゲイスが最初に用意して練習したことしかできず、幅広くプレーを用意したとしても試合中にオーディブルしたり修正したりっていう応用力はなかった。無理にやったらサックされるかファンブルするだけだった。
残念。

・頼れるDC

ゲイスはHCではありましたが、同時に自らオフェンスを組み立てていました。ドルフィンズがディフェンスをしているときには1人で次のオフェンスを練って試合を見ていなかったっていうことも、ヘッドコーチとしてどうなのよと批判を浴びることにもなっていました。
ディフェンス専門ではない、ディフェンスのプレーコーラーでもないヘッドコーチがディフェンスの間もすべて試合を見ていなければならないって必要はないとは思うのですが、それができるのは頼れるDCがいる場合だけでしょう。ラムズのウェイド・フィリップスとかね。
その点ではやはり1年目のDCヴァンス・ジョセフはなんだかんだきちんと役割をこなしていたんでしょう。
2年目からはDCがちと頼りなかった。最初に用意したことがダメだったら、その試合は最後までずるずるいくだけだった。ゲイスが試合を見てたらそれを防げたってことはないんでしょうけれど。

・広い人脈、あるいは賢いGM

そんなこんなを考えると、結局ゲイスに足りなかったのは、一級品のQBと、頼れて任せられるDCだったんでしょう。
で、なんでそれを実現できなかったっていうと、ゲイスが下手に人事権をもってしまったからでもあり。ゲイスは特に2年目からは、やたらと個人的な知り合いやら過去に一緒に仕事したことがあるメンバーやらを雇い入れていました。それも、必ずしも周りの評価は高くない人。
タネヒルが壊れたからってカトちゃんとか、オスワイラとか。
自分がプレーコール出すからってOCをロゲインスにしたりとか。
で、ゲイス自身が、俺が全部やるから、なんとかするから、いいよいいよって感じでいろいろと抱え込んで、結局手が回らなかった、と。
オフェンスに怪我人が出まくって、できるプレーがどんどん減っていく中で、それでも自分のプレーコールでなんとかしようとし続け、あいつはあれしかできないから、あいつにはこれならできるから、みたいな制限を考慮しまくって単調になりまくっていった終盤は痛々しいものでした。

ゲイスみたいな職人気質の人にはやっぱりあんまり人脈とか交流とかが生まれにくんでしょうか。だから知ってる範囲でだけ招聘していると限界がくるのが早い。賢くてやり手のGMが必要だったんでしょう。

■さーて来年のイルカさんはー?

まあクビにしてしまったものは仕方ない。
ゲイスには他のチームでのHC職も回ってくるでしょう。最終的にヘッドコーチは難しいかなー、OCとしてはすげえ有能だなー、っていうところに落ち着くかもしれませんが、まだまだNFLで実績を積み重ねるとは思います。

で、
去年までGMだったクリス・グリアーが、フットボール全体の責任者になりました。
それまでこのポジションにいたタネンバウムには他のポジションを用意するって話で、それが形だけのものであって実質権力は皆無であることを願うばかりです。

次のヘッドコーチ候補として噂されているのは、

・KCのOC、Eric Bieniemy
オフェンス畑。KCが勝ち切れいないのはHCリードのタイムマネジメントがアレなだけであって、他のチームづくりやプレー展開といった部分はきっと優秀だろうってな期待を込めてでしょう。でもリードって常にQB第一でチーム作りをしている感があるので、そっちも同時に考えないといけないでしょう。望むところだけれども。

・NEのDC、Brian Flores
まー、NEの内情を聞くくらいにしておいて、雇うのはやめておいてほしいですけれどね。

・CHIのDC、Vic Fangio
60歳っていう年齢がちょっと気にはなる。また、近年ではBAL、SF、CHIと、ずっと強いディフェンスを作り続けてきたのはすごいけれど、きっと職人気質のDCでHCに向いているかは未知数なのかな。
とはいえ、ダイハードなルックスからしても、ドルフィンズに足りない気合を注入してくれそうな雰囲気は期待できます。

・PITのOLC、Mike Munchack
オイラーズでプレー、殿堂入り。そのままオイラーズ〜タイタンズでコーチを続けてきた純粋培養タイプ。でもそこを離れてPITに行ってからの数年、そんなにチームのオフェンス良くないしなー、なんて思っちゃう。

・DALのPassing game coordinator兼DBコーチ、Kris Richard
現職で成功しているかどうかはよくわからないんですが、前職のSEAでのDBコーチだったあたりからの実績含めの評価でしょうか。

・NOのDC、Dennis Allen
この人もOAKでのHC時代のイメージが強くて、DCとしては安定して良いディフェンスを作るんでしょうけれど、ヘッドコーチとしての招聘はちょっとなあ。

・MIAのSTC、Darren Rizzi
急遽候補に急上昇。というわけではなく、ドルフィンズの内部から、特に選手たちから次のヘッドコーチになってほしいと持ち上げられる形で候補になりつつあるのが、スペシャルチームコーチのリッジーです。
つまらんミスをした選手を試合中でもごく近距離で叱咤しまくったり、いいプレーをした選手に密着ハグをしまくったり、非常に熱い人。
こういうタイプをHCにするならば、良いOCと良いDCを合わせて探す必要があるわけですが、うまくハマればチームとして非常に良い役割分担と組織化ができるタイプでもあり。
なかなか面白い人かとは思います。

・BALのHC、John Harbaugh
そしてもう1人、噂にすぎないのですが、ハーボー(兄)。
レイブンズはシーズン中盤まで調子がでなかったのでハーボーもそろそろ解任かなんて噂もありましたが、プ進出も決めてその噂も消えたのでしょうし、引き抜くにはトレードということになって、それにドラフト権を使うのはちょっとあんた、とも思うわけですが。まあ大型複数年契約を結んだ上で、来年はタンクと決めてしまえば、できなくもないのかなあ。でもなあ。

まー、そんなこんなで。HCだけでなく、OCもDCも総取り替えになるでしょう。それに加えてQBも必要。なんなら来年はドラフトであんまり良いQBがいなそうだから、もうタンクってことで再来年を狙ったほうがいいのかも。
みたいなもろもろの事情が絡み合うわけですが。
なによりも新実質GMグリアーさんの見る目が確かであることをただただ祈るばかりであります。





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