新たなツア対策が登場した第14週MIA@LACレビュー

新たなツア対策が登場した第14週MIA@LACレビュー

■結果

MIA 17-23 LAC

■展開

前半QB1ツアにもオフェンス全体にも全く良いところなし。かろうじてお笑いプレーでTDもらっただけ。

後半も抑えられ、ツアはこの試合パス28回中10回成功、145ydsにとどまりました。
どうにか最後にヒルへのロングパスを通して、オンサイドキックを蹴る点差までは迫れましたが、試合全体的には完敗。
どうやらLACのツア対策が上手くはまったようです。今後他のチームも真似してきそうなので、まとめておきます。

■ツアの特徴

長所

・RPOが上手
・判断が早くて投げるのが早い
・ロングパスの精度が高い

短所

・パスラッシュにビビる
・パスの球速が遅い

まず、ここまでツアが好調だった理由と対策された内容を見るために、ツアってこんなQBという特徴を挙げると上記のようになるかと思います。

RPOとは

Run Pass Optionの略でRPO、プレーが始まってからディフェンスの動きによってQBがRBにボールを渡すか(Run)パスを投げるか(Pass)選択する(Option)ものです。

こんな感じのプレーです。


(1)QBとRBが並んでセットします。

(2)RBにボールを渡せるタイミングでLBやDの動きを見て、RBにボールを渡すか、パスをするか決めます。
ここでは、LBがWRではなくRBに反応していると判断し、パスを投げることにしています。

(3)WRはRBに気を取られたLBの間を抜けてフリーになり、パスを取ることができます。
逆にLBがパスカバーに下がったら、その場所にスペースができるのでRBにボールを渡してランプレーにすればゲインできる可能性が高い、というプレーです。

ツアはこのRPOが上手。そのため、成績の良かった試合では、RPOで多く使われるフィールド中央へのパスが増えています。

クリックリリース

RPOには判断の早さも必要ですが、素早く投げることも大切です。クイックリリースと言われますが、パスを投げると決めてから実際に投げるまでが早いので、ディフェンスに反応する時間を与えずにすみます。
ツアはドラフト時にも投げるのが早いと言われていました。

ロングパスの精度

ツアのもう一つの武器が、ロングパスの精度が高いこと。カレッジ時代のハイライトを観ると、ロングパスが綺麗に通っているプレーがたくさん出てきます。

アラバマのWR陣が反則的に優秀でディフェンスを抜きまくってることもありますが、そのスピードを殺さずに精度高く投げ込めています。

パスラッシュにびびる

一方で、パスラッシュがきた時の対処が上手ではないところが短所という感があります。パスラッシュから逃げられない、サックされた時の受け身も下手、怪我も多い、などなど。そのためか、パスラッシュを過剰に怖がってパスが乱れる傾向があるように感じられます。

球速が遅い

また、パスを投げるまでは早いけど、パスの球速(空中を飛ぶ早さ)が遅いことも指摘されています。マホがビュン! アレンがズドン! という感じだとすると、ツアのパスはフワッと飛んで行きます。
つまり、短いパスはまだ良いとしても、パスが空中にある時間の長いロングパスはディフェンスの選手も追いつきやすくなるわけです。

■SFのツア対策

さて、ツアは2週連続でダメダメだったのですが、13週のSFと14週のLACは異なる方法でツア対策したようです。
SFのツア対策は、2Deep、ボサ、強つよディフェンスです。

2DEEP多用

パスカバーは2DEEPが主でした。奥をしっかり守ることでツアの長所であるロングパスを消せます。

BOSA

パスラッシュが早いので急いで投げなければなりません。ツアは苦手。

優秀なLB

短いパスはLBがすぐにタックルして、余計なゲインをさせませんでした。

基本的には奥を守って、パスラッシュでツアを乱れさせる方法。基本的なやり方とも言えるかもしれません。選手の個人技に頼っている部分も大きいので、他のチームが簡単に真似できるものではなく、先週は負けたけれど深刻に考えなくても良いやって雰囲気もありました。

しかし。

■LACのツア対策

SF戦でツアがダメダメだったのはボサによるところが大きいと思われます。でもLACの方のボサはお休み中。マックはいるけれど、MIAのOLもSF戦ほど怪我人だらけではなくなりました。そのため、あそこまでの崩壊はしないだろうと思っていたのですが、LACは別の方法で対策してきました。

プレスカバー

WRに最初からくっついてパスルートに出にくくし、早いタイミングのパスを通させないパスカバーをしました。MIAのWR陣、特にヒルとワドルは足がくそ速いので、相手DBは振り切られるのが怖くて下がって守ったり、ゾーンでロングパスを警戒することが多かったのですが、あえて前に出てきたわけです。

RPOでもベタ付き。

早いタイミングでレシーバーが開かず、ツアの強みである素早いパスが通りませんでした。

この試合、LACは35%のプレーでプレスカバーしたそうです。
ヒルがパスルートに出た22プレーのうち40%が、プレー開始時に3yds以内の位置にDBがセットしていたとのこと。その結果、40%のプレーではヒルの1ヤード以内にディフェンスがいたらしい。振り切られずにしっかり守っていた。
同様にワドルは26回中13回でプレスカバーされた。

実は今シーズン、これまでの対戦でもHOUとPITがプレスカバーを多用していたとのことです。ツアはパス成功率が70%前後になることが多かったのですが、その2試合に限っては60%程度でした。このデータからLACも有効な対策だと判断したのかもしれません。
あとBALもプレスカバーしてきたらしいけどBAL戦は72%パス通ってますね、不思議。

ミドルに人数を集める

そして、MIAのこれまでの傾向からか、フィールド中央を重視して守っていたように感じました。この辺よく投げてるからね、という感じで。結果、ミドルに入ったヒルの周りにディフェンスが5人くらいいることが多かった。

厚くするところをはっきりさせた、相手をスカウティングした上での対策って感じのディフェンスは見ていて好感が持てます。やられるのは嫌いだけど。

ロングパスが予想される場面ではゾーンで守る

そして、3rdダウンロングのパスが予想されるシチュエーションでは、逆にゾーンディフェンスを多用。80%がゾーンだったとのこと。
ただし、ツアがプレーアクションなどをせず単純にドロップバックした場合は、カバー6を増やして読み切られないようにしていたらしい。

■MIAの今後の対策

対策への対策

圧倒的な個人技で殴られたら仕方ないけれど、今週のLACの場合はプレーコールの問題も大きかったように思われます。これまでのMIAのプレー傾向から狙いを絞って対策してきた感があるので、次はさらにその対策を出せば良い。
ただし、HCマクダニエルにとっては新局面です。書き溜めていた曲がうけて1stアルバムは売れたバンドが、新たに曲を書かないと言けない2ndアルバムで真価が問われる的な。頑張れ秀才。

殴り勝て

とはいえ、この試合でもMIAが全く対策の対策をしなかったわけではありません。後半には、プレスカバーしてくるのを逆手に取って、強引に1on1をつくり、ヒルで殴り勝つというプレーもありました。

一発勝負なので成功率は高くならないこと、コンスタントにドライブできるわけではないこと、この後ヒルの足の状態がさらに悪くなったことで、続けられませんでしたが。
とはいえ、LACもそれなりに殴りあいには備えられるからこその、このディフェンスだったでしょうし、やはり対策の対策が必要です。

ツア落ち着け

パスラッシュに慌てすぎる、まだそれほどディフェンスを読む力が磨かれていないというツアの弱点も問題です。
LAC戦でも、相手がゾーンカバーをしてヒルが空いたのに、勝手に焦ってパスミスしていました。アジャストが苦手なのかもしれませんが、成長しなければ。

まずは落ち着け。そして学べ。

OLが整えばなんの問題もないんだけどさ

まあパスプロさえ強ければ問題ないんだけどね。リーグ最下位レベルなのでねえ。

特にこの試合では、問題が激しいGとRTが狙われました。ブリッツはともかく、スタントとかにも全然対応できないんだもん。

■来週は@BUF

@SF、@LAC、@BUFの地獄のロード3連戦は全部負けても仕方ないとは思っていましたが、来週は天気もひどいらしい。ツアもヒルもアームステッドも休んでも良いくらいじゃないのか。

相手QBを合法的に壊すビルズディフェンスなので、とにかく怪我だけはしないように。





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