[06]02(1)パント・ラッシュ
さて、チームAとチームBが試合しててな、チームAのオフェンスが終わったらどうなるよ?
今度はチームBの攻撃だよー!
どこから?
Aの攻撃が終わったところ、から…?
そうだな、つまり、チームAのオフェンスがあんまりゲインできなかった場合には、次のチームBの攻撃は有利な場所からはじまるってことだね。
逆に、チームAの攻撃が、点は取れなかったとしても、それなりに進むことができていれば、次のチームBの攻撃は不利なところからスタートする、ということだね。
しかし、ここに抜け道があるんだ。あんまりゲインできなかったけど、次の相手の攻撃を不利な場所からはじめさせる技がな。
すげー!
おしえてー!
まあ、それがパントなんだけどね。
パントは攻撃のプレーの一つと考えていいわけね。パントが飛んだ分だけ、自分がゲインしたのと同じことになって、次の相手の攻撃をフィールドの奥からはじめさせることができる。
ただし、パントを蹴ると同時に攻撃権を放棄するってことになる。だからパントの後は相手の攻撃になるんだ。
じゃあアレだ、ロングパスをインターセプトされるのと同じようなもんだな!
意外と鋭いじゃないか。
インターセプトは相手に捕ってもらわないとだめだけど、パントだったらボールに誰も触らないで転がっていくだけでも、その分ゲインしたのと同じ扱いになってくれるってわけね。
じゃあ、攻撃するのが嫌になっちゃったら、パント蹴っちゃえば良いんだ?
そうだよ、自陣のゴール前とかで、このままプレーしてもセーフティー取られるのとか怖いってときには、すぐにパント蹴っちゃうこともある。それこそ1stダウンでパントを蹴っちゃっても良いんだよ。
ただ、普通はできるだけ攻撃を続ける可能性を捨てないから、3rdダウンまではプレーをする。1stダウンで蹴っても、2ndダウンで蹴っても、その時点で攻撃権は放棄しちゃうわけだからね。
4thダウンになって、あと1回のプレーでファースト・ダウンを取れる確率が高くないって判断したときに、パントを蹴るんだ。
パントを蹴る側、それまで攻撃してた側を、パント・ラッシュ・チームっていう。パントが60ヤード飛んでも、受け取った相手に50ヤードとかリターンされちゃったら意味ないからね。できるだけリターンされずに止めるのが役割。
パント・ラッシュ・チームは、パンターがボールを蹴るまではラインの両端の選手と、ロングスナップをしたセンター以外はLOSを越えてはいけない。残りの選手はパンターがボールを蹴るまではパンターを守って、それから蹴られたボールを追っていく。
リターナーをタックルするための全体の動きは、キックオフ・ラッシュのときと大体同じ考え方だね。みんなで囲い込んでいくって感じ。
パンターは、味方の選手がリターナーに近づくだけの時間をつくるために、キックオフに比べるとボールを高く蹴り上げるんだ。この、ボールが空中にある時間をハング・タイムって言って、5秒を越えると良いパントって言われてる。5秒あれば40ヤード近く走れるからね。その間にラッシュ・チームがリターナーまでいけるから、すぐにタックルできて、ほとんどリターンされることがないってわけ。
パントはリターナーが捕らなくってもいいんでげしょ?
うん。キックオフのボールは、10ヤードを越えたら捕った方が攻撃ってことになったよね。パントの場合は、パントを蹴るチームが攻撃権をそこで放棄してるから、リターン側が捕らなくて、ラッシュ・チームが捕ったとしても、そこでプレーが終わるだけで、次はリターン側の攻撃っていうのは変わらないんだ。
それから、パントは蹴ったボールが直接サイド・ラインを出たら、その地点から相手の攻撃になる。リターナーが優秀な場合なんかは、リターンが怖いからわざと蹴りだすってこともあるよ。それから、直接ゴールラインを越えたときには、キックオフと同じでタッチバックね。
パントはキックオフに比べるとコントロールしやすいから、パンターはゴール前ぎりぎりに落ちてくるように蹴って、それをラッシュ・チームが捕るっていうのを狙うことも多い。相手の攻撃をゴール前からはじめさせることができれば大成功だね。
パントのふりをしてから、ボールを受け取ったパンターが走ったり、パスを投げたりすることもある。パント・フェイクってやつだね。それが4thダウンだったら、ギャンブルでランとかパスとかをするのと同じ扱いになる。だからそのプレーでファースト・ダウンが取れなければ、その地点でサイド・チェンジだね。
4thダウンでもダイブ!
それが男!いや、漢!
ちがう、それは漢じゃなくて、ただの馬鹿だ。
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