[イルカ観察日記] week1 僕らは明日を見てるから負けてあげたのさ、の@NE戦レビュー
■開幕戦は元王者ペイトリオッツ
コロナ騒動で色々大変だった今年も、どうにかこうにか開幕しました。プレシーズンもなく、自分も相手もどんなもんだかわからない手探りの状態ではありますが、開幕戦の相手はペイトリオッツです。
パッツといえばダイナスティ。しかし今年は若干様子が違います。
絶対エースQBブレーデー様がいなくなりました。去年までは「ブレーデー様と仲間たち」という雰囲気のチームだったのが、今年は「仲間たち」です。印象としては小粒になったか。
しかし、代わりに元全体1位QBのニュートンが加入。怪我明けでどのくらいできるのか不明ですし、ブレーデー様とは全く違うタイプのQBです。しかし、なんかやりそうな雰囲気はある。
そんなわけで、NEは、とくにオフェンスは性格ががらっと変わったはず。何はともあれベリチーがHCのうちは問題ないはず。
ということで、一時はタンクの噂さえあった元王者ですが、今年も強そうなのに変わりはありませんでした。
実際強かったんですけどね。
<オフェンス>
準備したプレーがまったく上手くいきませんでした。しかしその後、選手まかせのプレーに切り替えたり、さらにはとりあえずぶん投げておけというような苦し紛れのプレーをしたら、少し出た。
皮肉なものです。
■ラン
今年、ランで主にボールを持つであろうRBは、
34ハワード
20ブレイダ
37ガスキン
の3人。
・34ハワード
どうやらオーソドックスなブロックをしての中のランは、34ハワードの担当のようです。
しかし試合序盤、それがまったくゲインできませんでした。OLの非力さが主な原因ではあるのですが、この試合ハワードは8回ランプレーをして7ヤード。ほぼゼロ。
それでもゴール前のパワーが必要な場面ではしつこく飛び込んでどうにかタッチダウンを奪うなど、一応の成果はありました。
・37ガスキン
意外と良かったのが今年2年目の37ガスキン。もしかしたら今年もPSかなと思っていたのですが、キャンプで評価を上げて、この試合でもたくさん使われました。
ガスキンは、ドローなど少しタイミングを遅らせたランプレー担当のようです。OLもブロックで押し込むという感覚ではなく、相手にへばりついて間隔を開けさせるような動きをします。その隙間をガスキンがすばしこく抜けていく、というプレーです。
9回で40ヤード、平均4.4ヤード。まあまあ。
・20ブレイダ
20ブレイダは移籍が決まった時期が遅かったこともあるのか、それほど使われなかった印象です。それでも5回で22ヤード、平均4.1ヤード。プレーとしては37ガスキンと同じようなものが多かったのですが、やっぱり速い。スピード感が観てて面白い。
ランプレーに関してはOLの力不足、連携不足の面が大きいのでまだまだではありますが、とりあえずの方向性はわかった、ということで。
■パス
QBとWRの顔ぶれはほとんど変わっていないのですが、OCが変わって方針が大きく変わりました。それに加えてキャンプも短くプレシーズンゲームもなかったので、まだ練習が足りないような印象でした。
いや、練習が足りないだけだと信じたい。イメージ通りできたのに全然レシーバーがフリーになれなかったんだったら悲しい。
・QB14フィッツなんとかさん
今年の暫定先発QBです。シーズン中に全体5位ルーキーQBツアにスターターを譲る予定なのですが、ツアはまだまだ練習不足だろう、もしかしたら怪我の回復も万全とまではいかないかもしれない、ということで、当面はフィッツなんとかさん。
出来は良くなかった。特にWRとの連携がまだまだで、フリーになったところに投げられない。まあ、フリーになるのが一瞬すぎたということもありますが。
インターセプトを3本されていますが、1本はWRがコケたからで、1本はディフェンスのパスインターフェアを見逃されたからなので、とんでもなく悪いわけではありません。パスが通せないってだけだ。
・WR11パーカー&WR18ウィリアムズ
でかい担当の2人はフリーになれませんでした。ディフェンスを読めてないのか、ルートランが下手なだけか。去年は高さを活かした(無茶なぶん投げ)パスを無理やり取ってヤードを稼いでいただけなので、今年からのスプレッド・オフェンスには合わない性質なのかも、という恐れもないわけではないのが悲しいところ。
でも11パーカーは4回ターゲットになって全部キャッチ、47ヤードなのでまだどうにか。
18ウィリアムズは7回ターゲットになったのに2キャッチだけなのがつらいところ。
・TE88ゲシキ
今年ブレイクして欲しいトップ3くらいには入るゲシキくん。
いいキャッチ「も」あった。このままもっとコンスタントに競り勝てるようになっていただきたい。
・37ガスキン
ランでも一番良かったRB37ガスキンがパスでもやや目立ちました。
レシーバーが全然開かないとわかってから、とりあえずWRは奥に走らせて、空いたアンダーニースにチェックダウン的な役割なので、まあそれほど怖さはないんですけれど。
■OL
スターターは、
LT:73ジャクソン
LG:75フラワーズ
C:67カラス
RG:66キンドリー
RT:77デイビス
実に新加入が4人。全体的に押し勝っていたわけではないけれど、大失敗はなかったかな、というところでした。
特に連携が必要な中のランプレーや、ブリッツが来た時の慌てぶりは、まだまだダメやのうってところだったけれど。でも1on1ではそこまでひどく負けてはいないかなとは思われ。ただし75フラワーズは除く。
あと67カラスのスナップが何回か乱れてた。
■飛び道具たち
この試合、期待の飛び道具コンビはそろって怪我で出場なしでした。
ネイビー大学でQBとして2000ヤード走った、10ペリーと、
今年レイダースにドラフト3巡で指名されて開幕直前に移籍してきた、15ボウデン。
オフェンスが行き詰まったとき、この2人が変なプレーをしてくれるんじゃないかと楽しみにしててね!
<ディフェンス>
点差は10点ですし、失点は21点。数字的には崩壊したというほどではないのですが、ぜんぜん止まる気配がなかった。
簡単に言えば、弱点を突かれまくって修正が効かなかった。
もっと言えば、弱点が多すぎて修正が効くはずないじゃないかっていう感覚。
NEとしては用意した手の2段階目までしか使っていません。3段階目は確実にあったし、おそらく4段階目もあったでしょう。
つまり、こてんぱんよ。
■ドルフィンズのディフェンスの特徴
一般的にディフェンスはこんな感じで並びます。
図の下がオフェンス、上に向かって攻める感じで、丸や三角が人の位置を表します。四角はセンター、最初にボールの置かれる位置なので別の記号で表します。
ディフェンスは、いくつかのポジションに分けられます。
各ポジションの役割はこんな感じです。
・DL:最前線で相手オフェンスと押し合う。
・EDGE:押し合いもするけど、主に相手QBがパスを投げる前に潰しにいく。
・LB:DLと一緒に相手を押したり、パスの時はレシーバーを追いかけたりする。
・Safety:パスを守ったり、DLとLBでランを止められなかった時にタックルする。
・CB:パスを守ったり、ランナーが外側に走ってきたらタックルする。
ドルフィンズのポジションごとのレベルはこんな感じです。
全体的に弱いんですが、CBだけは強いという雰囲気です。
■ペイトリオッツの作戦
そんなMIAのディフェンスに合わせて、NEはこの範囲を徹底的に攻めてきました。
つまり弱点を突いてきたんですね。
さらに細分化すると、最初はこの範囲を攻めてきました。
QBにしては大きくて強くて速いニュートンが中心になって、RBに渡したり渡さなかったりするオプションなんかも使ったりして、ごりごり押してきました。
これが最初は止まらず、先制されました。
しかし、対応しなければならないので、ドルフィンズはさっきの範囲に配置する人を増やします。LBが前に出てくる形になりました。
すると、最初たくさんゲインされていたランプレーは少し止まるようになります。
前半はこれくらいの時点で終わったので、7点しか取られませんでした。
しかし、ランプレー対策に人を多く使えば、当然パス対策がおろそかになります。
後半に入ると、NEは空いた場所にWRが走りこんでくるようになりました。
フィールドの中央へのパスがたくさん成功。QBニュートンは去年までの数年間、肩を怪我してまともにパスが投げられない状態だったので、この攻撃は未知数ではありましたが、かなりちゃんと良いパスを投げていた。
誤算と言えば誤算だけど、相手がパス投げられないってのに期待するとかおかしいしな。
結局は試合終了まで、最初にやられたランと、次のフィールド真ん中あたりへのパスだけで進まれ続けてしまいました。LBがランを意識して前に行ったらパス、LBが後ろに下がっていたらランをしたら良いって感じ。
MIAのオフェンスが強くて点をたくさん取れるようであれば、NEもこの攻撃だけじゃ勝てないと思って他のこともしたかもしれませんが、あのオフェンスだったもんで。
実際には、MIAがセーフティーで中央へのパスを守るという方法もあったはずです。
しかしそうすると今度はさらに奥がガラガラになります。
いかにCBが強いとは言え、守らなければならない範囲が広くなりすぎたら無理です。
この試合では、CBが守っているWRへのパスは観た感じ3回しかありませんでした。しかも全部ショートパス。このCBたちとの勝負に持っていけるように、他のポジションの選手がまず守らなければないんですけどねえ。
■各選手
・DL
中のランはごりごり出されていましたが、実際のところ狙われていたのは98デイビス。ルーキーです。翻弄されてしまいました。
スタータークラスの94ウィルキンスと56ゴッチョーは、それほど押されたり間を抜かれたりというほどではありませんでした。デイビスも今年のドラフト2巡と期待されている選手なので、早く成長していただきたい。
・EDGE
98デイビスと同じように、エッジの選手たちもわりと翻弄されていました。91オグバーと90ローソン。どちらもNFL標準以上の選手ではあるはずなのですが、さすがNEのオフェンスは嫌らしい、といったところでしょうか。
ニュートンが頻繁に走るので、パスラッシュよりもランに備える必要がでてしまう。ランに備えていると、今度はオプションのキーにされてしまう。RBに反応するとニュートンが走るし、ニュートンの方に行くとRBにボールを渡されて走られてしまうのです。
まあNEがパスを投げることが少なかったからとも言えますが、本来のパスラッシュという仕事は肩透かしにあい、慣れないことをやられまくってしまったわけです。
・LB
55ベイカーは元気一杯。16タックル、1サック、1ファンブルフォースという成績でした。
しかし、他が。44ロバーツと51グルギャヒルが右往左往してました。この2人はILBとしてはスピードタイプでパワーが足りないので、この試合のようなゴリゴリ押してくるプレーには弱い面もあるのかもしれません。
タックル大好きタイプのLBである49サムくんがお休みだったのも痛かったなあ。
・S
フィールドにはいましたよ、という印象でしょうか。1人でディープゾーンを広く守れるような超一流セーフティーがいれば、もっとランに人数をさけて、ニュートンにとっては練習不足であろうパス勝負に持って行けたかもしれないのですが。
ちょっと役者不足なんだよなあ。
・CB
ルーキーの23イグちゃんは3回ほど狙われましたが、大怪我はせず。あとは24ジョーンズのところに1回来ただけ。25ハワードと合わせて、3人で40ヤードくらいしか取られていません。
すごーい。
■勝ちにこだわったNEと、まだその必要はないMIAと
戦力的にはNEの圧勝でもあるのですが、それよりもプレー選択の差が出た印象です。
NEは、すぐにできることを集めて、最低限の種類のプレーでも勝てるプランを作って実行しました。
それに対してMIAは、今年のシステムを練習して覚えている過程という雰囲気のプレーから始めました。練習は一応したけどな、上手く行くかな、程度のプレーです。結局は上手くいかず、試合終盤には去年と同じように苦し紛れのパスをぶん投げるようになったのですが。
この2チームの試合に対する姿勢の差が、今年のチーム状況の違いでもあると思われます。ブレーデー様もいなくなり、一時はタンクかとまで言われたNEは今年も勝つ気みたいです。MIAはまだ、本番は始まっていません。広い意味ではツアを育てるためにプレーを見せている段階とも言えるでしょう。
なので、別に悔しいとか感じなくていいんだもん。断じて、いいんだもん。
■来週はビルズ戦
今年のAFC東地区は、NEとBUFの地区優勝争いになると思われます。その2チームと開幕から続けて対戦しなきゃならないなんて大変。まあMIAは今年は勝敗関係なくじっくりチームを整えて、QBツアが登場してからが本当の開幕みたいなものなので、取りこぼしちゃいけないっていう意識のBUFの方が緊張するかもしれませんけれど。
ともあれ、オフェンス・ディフェンスとも、もうちょっと見所がありますように。
<MIA貯金>
MIA貯金ルール
・勝ち:1万円+点差×100円
・負け:点差×300円
・プレーオフ出場:1万円
・地区優勝:3万円
今週の貯金
・負け
・10点差
合計:3000円